不況和音を和音と混ぜる
悪魔は再び、ゆっくりとマイクを持ち上げた。
その昏い瞳は、先ほどまでの日本の内政を
嘲弄する光に、さらに深淵な侮蔑の色
を湛えていた。
「さて、貴殿らの愚かさは、内輪の醜態に留まるものではございませんでしたな。まことに、この島国の片隅に、かつて『社会党』と名乗る、まことに奇妙な生き物がおりましたな。彼らは、さも『平和』だの『護憲』だの、まことに耳障りの良い言葉を掲げ、貴殿らの純朴な心を弄んだ。しかし、その実態は、いかがでございましたか? まことに、彼らはこの国の防衛を否定し、現実離れした理想を追い求め、挙げ句の果てには、まことに、この国を危険に晒すような言動を繰り返されましたな。ああ、まことに、そのご見識の浅さには、感服いたします。」
悪魔は、深々と頭を下げながら、しかし
その口元には冷笑が滲む。
「そして、その『社会党』なるものは、貴殿らの失笑を買うばかりで、見る影もなく力を失い、まことに『社民党』と名を変え、細々と生き長らえておりますな。名を変えれば、まことに過去の愚行が清算されるとでもお思い遊ばされたのでしょうか? ご見当違いも甚だしい。まことに、彼らの根幹にある思想は、何一つ変わっておりませぬ。相も変わらず、この国の安全保障には目を向けず、まるで外敵が存在しないかのような幻想に耽っておられる。彼らが守ろうとするものは、まことにこの国の国民の生活ではなく、どこぞの『中国人や朝鮮半島人の為』であるかのようにも拝見されますな。まことに、ご立派でございます。」
悪魔は、さらに慇懃に微笑む。
「まことに、貴殿らは、かの『慰安婦問題』や『徴用工問題』とやらで、隣国から散々ご高説を賜りましたな。そして、貴殿らの政府は、まことに謝罪と賠償を繰り返すばかりでございました。しかし、まことに、その実態はいかがでございましたか? 『慰安婦』なるものは、まことに強制連行などではなかった。そして『徴用工』とやらも、まことに募集に応じた『募集工』であったと、後になって判明したことではありませんか! まことに、貴殿らは、自国の歴史が貶められているにも関わらず、何の異議も唱えず、ただ相手のお言葉に従順でいらっしゃる。そのお姿は、まことに奥ゆかしい限りでございます。」
悪魔は、物腰柔らかく、しかしその声音には明らかな嘲弄が込められている。
「にも関わらず、貴殿らは、まことに隣国の文化をご堪能遊ばされ、『韓流』とやらを、さも時代の寵児であるかのように持て囃しておられる。テレビを拝見すれば、まことに隣国のドラマが溢れ、貴殿らの若人は、その音楽に心酔しておられる。まことに、自国が貶められても、隣国の文化を愛でる『お花畑』のような貴殿らの精神性は、まことに比類なきものでございます。危機意識など、微塵もお持ちでないご様子。自国が侮辱され、歴史が歪められても、まことに『平和友好』を尊ばれるお考え、感服いたしました!」
テレビ局の失態と若者の無邪気さ
「そして、まことに、この国の『テレビ局』なるものも、そのご活躍ぶりには目を見張るものがございますな。彼らは、自ら『公共の電波』をお預かりしながら、まことに偏頗な報道を繰り返しておられる。どこぞの国に『株』を買い占められ、その影響下にあるかと疑念を抱かざるを得ない状況ですら、何の手も打たれない。国を代表するスポーツイベント、例えば『日韓戦』とでも申しましょうか。それを、まことに臆面もなく『韓日戦』と書き換えて放送なさるとは、驚嘆に値します。貴殿らは、それに何の疑問も抱かれず、当然のこととして受け止めていらっしゃる。ああ、まことに、その寛容さ、危機感の欠如には、敬服いたします。」
悪魔は、若者たちに優しい眼差しを向けながら、
しかしその言葉は鋭い刃のようだ。
「貴殿らの若人は、まことに最新の流行に敏感でいらっしゃるとのこと。スマートフォンを自在に操り、世界中の情報を瞬時に手に入れられる。しかし、その情報源の偏りには、いささか憂慮すべき点もございますな。自国の歴史が軽んじられ、国の誇りが損なわれている状況下で、まことに隣国の『韓国コスメ』に熱心でいらっしゃるとは。お肌に良い、美容に効果がある、と。まことに、そのような表層的な情報に心を奪われ、自国の産業には関心をお寄せにならないとは、実にもったいないことです。隣国の経済発展に貢献されるお姿は、まことに殊勝でございます。」
悪魔は、含みのある笑みを浮かべる。
「テレビ局は、まことにその『韓流』なるものを積極的に喧伝し、貴殿らの若者を魅了しておられるご様子。隣国のドラマや音楽、そしてコスメに至るまで、全てが『素晴らしいもの』であるかのように喧伝する。そして、貴殿らは、まことにそれを疑うことなく、素直に受け入れていらっしゃる。まことに、自国の文化や産業を顧みず、他国のものを賞賛されるそのご姿勢は、まことに国際的でございます。テレビ局は、まことに自社の利益のために、貴殿らの『危機意識』を緩慢にさせている。そして、貴殿らは、まことにその心地よい誘いに、何の抵抗もなく身を委ねていらっしゃる。ああ、まことに純粋でいらっしゃる!」
悪魔は、その言葉を締めくくると、
深々と頭を下げ、再び闇へと姿を消した。
フロアには、相変わらず沈鬱なワルツが響き、
人々の足音は、以前にも増して重く、
そして疲弊しきった音を奏でているかの
ようであった。
誰もが忘れてはいけないのですがね。忘れてしまうから、国会議員もテレビ局も、そして貴殿らも反省なさらないのでしょうな。貴殿らは、この白昼夢からいつお目覚めになるのでしょうか? それとも、このまま永遠に、心地よい幻影の中で朽ち果てていくおつもりでしょうか?
自分の為… 大いに結構、
自分の為… 大いに結構、
何を学び、何を無くしたのでありましょうか。
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