第3話 時代は餓死!!飢え死にさせよう
「クソ女の実家粉砕作戦は大成功ですね」
キリコは自分の提案が上手くいったことにほっと胸をなでおろし、執務室に顔を突っ込んできているコメットはウッキウキな上機嫌で首を上下に動かしてノリノリだ。今回の最大の功労者のコメットが楽しそうで何よりです。
「これそんな作戦名だったのか・・・。いやでもちょっとスカッとしたよ。なんかレテネーブル商会大赤字で瀕死になってるっぽいしな」
「みたいですね。今はこれまでため込んだお金で凌いでいるようですけれど、もう香辛料で稼ぐことはできないので商会としては終わりですよ。いずれ破産します。
商会で働く人たちに罪はないですし路頭に迷うといけないので、香辛料を流通させるときに知り合った他の商会やお店に、レテネーブル商会の従業員の方の再雇用についても相談させてもらっています。安価に卸すので、もしレテネーブル商会が破産して従業員が放り出されたら雇用をしてほしいという事を織り込んで商流に載せていますので抜かりはありません」
「ヒューッ、キリコちゃん有能すぎィ!」
いたれりつくせりでアフターケアもバッチリのキリコをハグする。
「ファーッ?!シーン様!?」
「アーッ!キリコちゃんいいなぁ!」
抱きつかれてびっくりした声をあげるキリコと、何故か羨ましがるリンナ。そして自分を撫でろとアピールするコメット、3人と1匹でぎゃあぎゃあと騒いだ後、今度はリンナが咳払いをして提案してきた。
「でもまだまだ報復ははじまったばかりですよね。やっぱり寝取った間男の家にもきっちりわからせないといけないと思うんですよ。・・・となればやはり、餓死かなって!!」
「何で餓死?」
リンナの言葉に半目でツッコむと、自信満々な様子で話を続けるリンナ。
「最近都で流行っている“ざまぁ”な物語では餓死がトレンドなんですよ!ひもじさと絶望と心もとなさとで苦しみながら死ぬのって良くないですか?今餓死の波が来てるので乗るしか無い、このタイダルウェイブに!」
「餓死がトレンドって大丈夫かよ。しかも餓死良くないですかと言われて俺は何て答えればいいんだよ」
「エーッ?!傲慢チキな伯爵家をわからせたい、たい!わからせたい、たい、たい!わからせたい、ん~わ か ら す !」
リンナが無性にやる気、いや殺る気をたぎらせている。
「はぁ・・・伯爵家全部ブッ潰したら・・・昔みてーに貴族、
「
目をキラキラさせるリンナと、クワッと目を見開いて合いの手を入れるキリコ。いや全然善くないが??
「邪魔な間男・・・
「
善い要素、なくない??あとうら若い女の子が去勢とかいうのやめようね。
「
「
なんで善いと思うんだ、倫理はどうした倫理は。テンションあがったリンナがキリコに問いかけ、キリコが全肯定するというやり取りを繰り返しながらリンナのボルテージは最高潮になってるけど全部だめだと思う。
そういえばリンナは元は没落してしまった貴族の産まれで“猟犬”と呼ばれていた暗殺と拷問のエキスパートだけれど、リンナの死んだ父親と俺の死んだ親父が友人だった縁でうちに引き取ったんだっけな。普段は明るくてバカっぽいのでわすれがちだけど本来は暴力を良しとする側だわ。
「とはいえ伯爵家にも意趣返しはしてやらないとなぁ。できたらお家没落位までおいこんでやりてえけど」
「それならやっぱり餓死ですね!飢餓最高!」
「何だよお前なんでそんな餓死にこだわるんだよ。餓死の何がお前をそこまで駆り立てるんだよ」
「違いますよシーン様!伯爵家は西部山脈に囲まれた盆地で天然の要害ですが、物資の搬入は限られた道を経由する必要があります。ですがその道を確保するために魔物を領地外においたててるんですよ。それで追い立てられた魔物達が伯爵の領地外の人に結構な被害を出しているんです。なのでその魔物を追い立て返すんです、返品ユーターンですよ。そうすると物資を運ぶ道が使えなくなって・・・餓死!!」
「やっぱり餓死じゃねーか!餓死への謎のこだわり何なの?一旦餓死から離れようか、ね?」
でも自分の領地と自分たちの安全のために人に厄介ごとを押し付けて自分達だけ良ければ人はどうでもよいってスタンスは確かに気に入らないな。
それに目論見が失敗したところで魔物を退治したらそこに住む人たちは安全に暮らせるようになるのでどっちに転んでもメリットしかないな。
―――よし、伯爵家にも意趣返しをやってみるか!!
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