第4話 ざまぁはじっくりコトコト着実に煮込むと美味い
というわけでリンナの提案もあり、コメットにのって伯爵領に続く街道の上空を飛行していると伯爵に仕える騎士の集団が本当に魔物を領地外へ追い立てていた。
・・・マジかよ、シャカラ伯爵家ゴミじゃね??
自分達の被害を極力出したくないからか自分の領地外に追い立てることはしても討伐をしない。・・・追い立てた魔物が他所の領地や近隣の村とかに被害を出しても関係ない、自分さえ良ければ人はどうでも良いのスタンス・・・これは実にクソ案件すぎる。
しかもよくみると魔物の群れが追い立てられていく先には、近隣の村の子供と思われる幼い姉弟が逃げていて、魔物達は視界にみつけた姉弟に向かっていった。
・・・騎乗していることで強化された今の俺の身体能力だと、その姉弟の会話だって聞き取れてしまう。
「ニーナお姉ちゃん、僕を置いて逃げて!」
「だめよ、一緒に帰るんだから、ほら諦めないで走って!」
・・・お姉ちゃんも弟もお互いの事を思っていて良い子じゃないか。俺はこういうのに弱いんだ。
追い立てた側の騎士達にはそんな姉弟の会話は聞こえなかっただろうけれど、必死に逃げる姉弟を指さしてゲラゲラと笑ってから意気揚々と引き返していった。
・・・なんだあいつら。騎士ってのは戦えない者を守るのが役目。まものきってやくめでしょ!それを幼い子供達が魔物に襲われる姿を嘲笑するなんて不愉快極まりない、しかも原因は騎士達だし。主がクズなら従者もクズかよ!あのクズ騎士達もいずれわからせてやる必要がありそうだなぁ。
と、そんな俺の憤りを察してか、コメットが追い立てられた魔物へと降下を開始した。さすが愛竜!
『森へ逃げるな、平地へ逃げろ!そうすれば助けれる!!』
拡声魔法で逃げる子供達にそう叫ぶと、俺の声が聞こえたのか子供達は一瞬迷ったそぶりを見せた。
魔物に襲われたとき本来であれば身を隠すところが多いところに逃げた方が良い。けれど森の中に逃げられると、俺とコメットは自由に動けないので恐らくあの子たちを守りきれない。平地に逃げてくれれば、このまま魔物を掃討して守ってやれる。そして姉と思われる子供が弟の手を引き姉弟は平地の方へと駆け出した。
・・・信じてくれたか、良い子達だ。よーしお兄さんが家まで安全に送り届けてやるからな!
騎兵が使う突撃槍をさらに大型化した特製の竜騎士用突撃槍を構えて、追い立てられた魔物達に向かって背後から急降下した。槍の一撃と衝撃波によって魔物の群れはバラバラに吹き飛んでいった。いやん、ミンチよりひでえや。
そして即座に急上昇し高高度へと戻り、何が起きたのわからず周囲をキョロキョロしている姉弟に家に帰るように上空から声をかけると、2人は上空の俺には気づかないまま俺の言う事を聞いて家のある村へと走っていった。そんな2人の背中を上空を旋回しながら見守り、二人が村に戻ったのを見届けてから俺は自分の領地へと戻るのだった。
それから、リンナの献策に従い伯爵領の周辺の魔物を掃討しつつ、キリコからのアドバイスで他の国有地の魔物の掃討もするようになった。
伯爵の領地の周辺の魔物ばかり倒していると不自然なので、王や貴族の手の届かない僻地で魔物に苦しめられている民を助けるための“貴族の行い”として誤魔化すためと言われたのだ。
あとは伯爵領の農村や、他の僻地の村で困窮してる村には食料を届けていく。今後、魔物が多い場所の食料事情の改善は国に提案していった方が良いかもしれないなぁ。
それから暫くの間は、元々領地の運営は安定していて敢えて俺がすることがなく書類仕事ぐらいしかやる事もなかったのもあって空いた時間を使って香辛料や隣国から勧められた商材を仕入れて売ったり、僻地や国有地の魔物を討伐して回っていたら魔物に苦しめられている人たちからはとても感謝されたし俺のそんな働きは街や王都にも広まっているようだ。
元々香辛料を安価に流通させたことで名前が売れていたこともあるようだけれど、俺は民を助ける正義の竜騎士としてちょっとした話題になってるらしいよ。
やってることは寝取り男への領地の嫌がらせを誤魔化すために危険な魔物を倒して回ってるだけなんだけどなー。
「事実だけ並べると高価な香辛料を安価に仕入れて薄利で流通させたり、隣国を流行病から救ったり王家や警備の手が届かずに魔物に苦しめられている過疎地の民を救って飛び回ったりと良い事しかしてませんからね」
執務室のソファーに横になりながらボリボリ音をたてながら焼き菓子食べてるリンナがそう言ってきた。そうか?・・・そういうものか。
「リンナ、休憩中とはいえシーン様の前で失礼ですよ」
リンナがキリコに注意されているけど知らぬ存ぜぬの構え。別に俺は細かい事は気にしないので好きにしてくれればいいんだけどね。
「弟に頼んで伯爵領とその周辺を調査して貰いましたが、シャカラ伯爵領に隣接する周辺地域の危険な魔物はほぼ掃討されたと思います。また、伯爵領を出る事で討伐されるためいったん伯爵領の領地外に追い出された魔物はすぐに伯爵領に戻るようになっていっているようですよ。今は魔物によって伯爵領への交通が妨害されていますね」
へぇ、案外うまくいくもんだな。そもそも自分の領地の魔物なんだから自分で討伐するのが筋なんだし伯爵領の騎士達には頑張って自分の身から出た錆ならぬ自分の地からでた魔物の討伐を頑張ってもらおうね!!
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