愛する才能

光太は３１歳の時、美里５０歳と出会う。立場も年齢も既婚か未婚かもまるで正反対。親子でも、兄弟でも、親友でも、ましてや恋人でもなく。
けれど魂のどこかで、出会うことが決まっていた人。

コロナ禍で出会った十九歳差の二人が辿るのは、名前のつかない関係と、魂の記憶を呼び覚ます日々。
「出会わなければ幸せだった。」
美里がそう言ってしまったのは、本当は深すぎるほど光太を愛していたから。そして光太も、どこかでずっと昔から彼女を知っていた。

　これは、美里と光太の心の奥にしまわれた物語。これは、現実とスピリチュアルの境目に咲いた、ひとつの愛の形。誰にも言うことはできなかったけれど、確かにそこに存在していた「愛する才能」を綴ります。