怪談短歌【カクヨム短歌賞10首連作部門 応募作品】

坂本 光陽

怪談短歌


妹が 布団にもぐりて 神隠し 四十九日で 赤く染まりぬ



リビングで セミが鳴きたり 月命日つきめいにち 背中の模様が 亡き息子に似て



誰かしら 視線を感じる 一日中 ふと見上げれば 巨大な眼球



古屋敷ふるやしき とどろく悲鳴 また聞こゆ 住人は亡く 死者の住まいか



赤い糸 えにしもとめて 元たどり われ殺されて 鬼の餌食か



黒猫が 看板娘の 文具店 ニャアンと鳴いた 剥製はくせいなのに



床の間で 娘と誰かの 笑い声 姿みえぬが 恋しき祖母かな



清貧せいひんの 我が家の悩み ごくつぶし 今日こそ捨てる 粗大ゴミの母



謎ラーメン 夢の味わい 天下一 出汁だしの秘密は 死んでも明かせぬ



真っ黒な 小動物を 連れ帰る 餌のかわりに 指を食われる


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