第2話:金曜連続殺人事件のこと

金曜日に人が死ぬ。

 そんな偶然が三週連続で起こるだろうか。

 否。これは偶然なんかじゃない。

 私はそう確信していた。


 最初の犠牲者は、高校の英語教師。

 帰宅途中、駅前の裏路地で倒れていた。

 死因は刺殺。凶器は現場に残されておらず、指紋も出なかった。


 二人目はスーパーマーケットのレジ係の女性。

 自宅の風呂場で血を流して倒れていた。

 浴槽のふちに頭を打ちつけた跡があり、事故として処理されたが、

 その日が金曜日だったこと、

 そして彼女が、最初の被害者と同じ高校の卒業生だったことを知ると、私は言いようのないざわつきを覚えた。


 三人目の写真が送られてきたのが、先週の金曜日の深夜だった。

 現場は交差点。

 投稿者は匿名で、

「また死んでる。これって偶然か?」

 という一文だけを添えていた。


 警察は三件の関連性を公式には認めていない。

 どれも場所も方法も違う、接点がないように見える。

 だが——。


 私は、つながっている気がしてならなかった。

 何かが裏で静かに進行している。

 この街のどこかに、毎週金曜日、

 “死”を決行する者がいる。


 そして、きっとそれはまだ終わっていない。

 むしろ、始まったばかりなのだ。


 金曜日が、また来る。

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