一片の記憶

桜散り 地面に残る 命たち 踏み潰されて 二度絶命す

桜には エピソードが 詰まってる 一片（ひとひら）ひとひら 命の結晶

水面に 花びら一ひら 落ちていく くるくるくると ワルツ踊るや

あゝ汝 水面（みなも）の中を 覗き込む にっこり笑う 自分が一人

何故笑う 母が問うたが 女の子 先ほどよりも 暗くなりけり

水神云う 花びらひとひら こうべにて ジャストフィット 髪飾りのよう

その主は 誰にも届かず いつまでも ワルツと子ども 見守っている

遠くから花びら一ひら 吹いてきて 少女の頭に 軽く触れゆく

風が吹き 桜の花びら 舞い散るや 春の魔術師 少女笑ませる

母と子が 手繋が歩き 帰路に着く 幸せそうな とある1日