【極秘搬送報告書】

【極秘搬送報告書】

件名:対象患者および付随物の外部研究機関への移送について

記録番号:R-EX-0225 / 分類:民間委託案件 / 機密レベル:D-5


■ 概要

2025年6月17日午前2時35分、患者「明智〇〇(仮名)」および関連物件「木板(神の座)」の極秘移送作業を実施。

本移送は、院内における連続的異常事象と精神汚染拡大の懸念から、**外部専門研究機関『センターM研究群』**への対応移管を目的とする。


■ 移送対象

患者名:明智〇〇(男・年齢不詳)

 症状:反復的自己言及、身体硬直、幻聴・幻視、周期的な反復語「ゆらゆら」

 危険度:中~高。薬物投与に対し反応薄。意識混濁。


付随物件:木製板(幅130cm/厚さ8cm)

 異常性:処分不能・物理移動発生・音響現象報告・非接触圧痕の記録あり。

 注記:「焼却不能対象」「精神影響性あり」


■ 移送方法

深夜帯指定(02:00〜04:00)


無標識バン車両2台使用/後方護衛車同行


スタッフ全員NDA(機密保持契約)済


木板は鉛処理済みコンテナ内封入/患者は睡眠薬投与・四点固定ベッド搬送


■ 受け入れ先:センターM研究群(山梨県某郡)

外見は廃工場だが、地下に複数の研究棟を持つ非公開機関


代表責任者:Dr.日野(元国立精神医療研究所)


特異精神現象および宗教系神経症の共同研究を主目的とする


収容対象に対する再刺激・反応観察を予定


■ 職員メモ(非公式記録)

【記録者:警備課 杉村(搬送立会)】

明智って男、乗せられながらずっと呟いてた。


「板はね、座るもんじゃないんだよ。あれは、あれが、あれが座るとこ……」


最初は寝言だと思ったけど、途中で突然目が覚めたみたいで。

無言で、じっと窓を見てた。助手席の鏡に映る目が……なんか、奥が真っ黒だった。


木板からは“熱”を感じた。コンテナ越しなのに、汗が止まらなかった。

到着時、板の上に何かの小さな足跡のような跡が浮き上がっていた。

スタッフが「これ……子供の、じゃないよな」って言ってたけど、俺はもう何も見なかったことにした。


■ 備考:最終報告

センターM到着時、明智の体温は平熱にもかかわらず、周囲の湿度が局所的に200%以上を記録。

搬送車両2台のうち1台が帰路途中に事故。ブレーキ機構の異常が記録され、ドライバーは「助手席に誰かいた」と証言。


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