〔内部通達・非公開報告書〕
〔内部通達・非公開報告書〕
記録番号:MHD-25-0615-KY-2
作成日:2025年6月15日
作成者:医療法人こころの杜 精神科病棟 総務主任・久保田良平
件名:
病棟個室(D-107号)における継続的異常現象について(報告)
1. 概要:
2025年6月11日より当院精神科病棟に隔離入院中の患者(仮名:明智〇〇氏/D-107号室)に関連し、複数の看護師、職員、他患者から「不可解な現象」「異様な気配」などの報告が相次いでおり、職員間でも心理的影響が広がっている。
2. 発生日および時間帯別の現象報告:
■ 6月12日(入院2日目)
03:40:夜勤看護師2名がラウンド中、「D-107号室のドアがわずかに開いていた」と証言。明智氏はベッドに横たわっていたが、顔面が笑顔のようにひきつっており、「うたってる、うたってる」と小声で繰り返していた。
ドアはオートロックであり、外側からの解錠操作ログなし。
看護師1名がのちに「足元がふらつくような揺れを感じた」と報告。
■ 6月13日
02:15:廊下の防犯カメラが8秒間フリーズ。
フリーズ中、別角度のカメラには院内では見かけない長髪の女性の後ろ姿が記録されていた(画面ノイズ強く識別困難)。
明智氏の病室からは不定形な童歌のような旋律が記録されているが、現場にはスピーカーも録音機も存在せず、本人も音源の存在を否定。
■ 6月14日(職員の動揺が顕著に)
看護師S(30代女性)が「明智氏の病室から“何かが這っている音”を聞いた」と訴え早退。
他病室の患者が夜間パニックを起こし、「女の人が窓から入ってきた」と錯乱状態に。病棟の外壁に窓から侵入可能な足場は存在しない。
D-107室の天井換気口にて異音(ガタガタ、ギィイ音)を確認。獣害の可能性を疑い調査したが、動物の痕跡なし。
3. 患者の言動(同期間)
「揺れてる、揺れてる、いよいよ来るね」など意味不明の独語を繰り返す。
面会室での会話録音において、「だれかが中にいる。僕の中。すぐそこ、裏側に……」との発言。
看護師が話しかけると笑顔で応じるが、その直後に無言で床を指さし続ける異常行動あり。
4. 現在の対応状況:
D-107号室は一時的に観察カメラの常時録画体制へ移行。
夜勤帯の職員数を1名増員し、メンタルサポート体制を設置。
看護師への心理カウンセリングを順次実施中。
一部職員より配置転換の申し出あり。
5. 備考:
患者が入院時に所持していた“木製の分厚い板片”について、当初は安定剤的な意味で病室内に設置していたが、異常現象の多くがこの板を中心に発生しているとの職員証言が複数。現在は保管庫(S室)に隔離中。
しかし、保管後もD-107号室では以下の事象が継続:
看護記録ノートに「ゆらゆらゆら」と走り書き(本人以外立ち入りなし)。
室内の照明が明滅する現象(器具異常は確認されず)。
6. 今後の提案:
精神科領域の専門医に加え、外部研究機関(民俗学・宗教学)との連携も検討すべき。
匿名かつ非公式な形で、当該患者の調査に関わった他関係者のヒアリングを実施予定。
これ以上の異常が継続する場合、D-107号室の封鎖および患者の転院も視野に入れる。
以上
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