第3話

作戦が無事終了したαチームは成果の報告に当たっていた。


「報告は以上になります。」


αチームの報告が終わった。


「ふん、まさか人質を殺され?しかもアンノウンを取り逃がす?失態じゃないですか?ねぇ天野さん?」


報告に来ていたβチームのリーダーである佐々木が嫌味たっぷりの言葉で天野を煽った。


「うるせぇよ黙ってろ。上官の前だ。」


天野はその挑発に乗ることなく話を続けた。


「まぁいい…最低限の情報は得ることが出来たんだ。だが、敵に好き勝手されたのには変わりない。それに旧友だったのかもしれないが感情を作戦に持ち込むのはご法度ということも分かっていたはずだ。」


「はい…。」


加賀見の元仲間だということ、相手の目的がおそらくチームの能力を調べるということも報告していた。それにともない作戦について、私情を持ち込んだことについて叱責を受けた。


「話は以上だ。最近怪物の動きも活発になってきている。また、今までになかった組織的な動きも見受けられている。これからアンノウンと同時に怪物達の相手を同時にしなければならない時がやってくるはずだ。君たち特殊部隊が我が国の切り札ということを改めて認識し任務にあたってほしい。」


「「承知しました。」」


無事に報告が終了し、佐々木と一緒に部屋を出た。


「次はしっかりしてくれよ?天野君?」


「当たり前だ。いちいちうるせぇんだよ雑魚が」


一通り佐々木と貶し合ったあと二人はそれぞれのチームのところに分かれた。


天野が待機室に戻るとチームの皆が集まっていた。


「ボスすみません!俺のせぇで」


部屋に入ると同時に加賀見が見事なお辞儀で謝罪してきた。


「お前のせいじゃない。作戦事態は上手くいっていたんだ。人質を殺されたのも奴に逃げられたのも全てチームの失態だ。おめぇのせいじゃねーよ」


天野は加賀見を慰めながらチームを見渡した。


「なんで、全員いんだよ。一応今日明日は休暇のバズだが?」


天野は加賀見はいること自体はある程度想定していた、だがチーム全員がいるとは思ってもいなかった。そんな中、刈谷が皆を代表して話した。


「作戦が微妙だったし?怒られるなら一緒の方に怒られてやろうかなって思っていたらみんないた。って感じ?」


「バカだろお前ら?怒られんのは俺の仕事だろ?」


まさかの反応に天野は驚きながらもおかしくなり笑った。


「飲みいくか?」


「「うぉぉぉぉぉぉぉっぉ!!!」」


男たちは歓喜の雄叫びを上げながらボスに返事をした。


「飲みに行きたいだけかよ…。奢らねぇからな!?」


天野はチームの真の目的に呆れを感じていた。


「わかりきってたことでしょ?さっさと行こか」


刈谷の言葉に天野は頷き会議室をでた。


天野が会議室を出ていくと同時刻、ゼロ隊のあるチームが任務に出ていた。


――――――――――――――――――――――――――――――


「こちらファースト。これより敵の巣殲滅作戦に移る。」


「ファースト了解。幸運を祈る。」


ファーストのチームは、京都滋賀の境目にある工場跡地に蛾型の怪物が巣をつくっていたためそれの駆除に当たっていた。京都が支配されてから度々、隣接する県境に巣を作る怪物がいたことは、普通のことであり支配を広げられないためにもそれの駆除に当たることはゼロ隊にとって立派な仕事の一つであった。今までは、αチームを出動させるほどの規模の巣は無かった。しかし、ここ最近は巣の数、大きさ、生息するモルスの数が明らかに増加していた。ましてや同種同士でしか行動しない怪物が他種同士で巣を作っていたことが二カ所発見されていた。


ファーストチームは作戦の開始を合図に殲滅に入った。


「種族は一種か。今回は今まで通りだな。」


今回の巣は今まで通りの巣であった。その為特に苦労することもなく作戦が侵攻していた。しかし、それも途中までであった


「ボス!これは!?」


ファーストチームの目の前に広がっていたのは、ドーム状の巣の中に繭が3つ目の前に広がっていた。


「この巣は初めてだ。本部に知らせろ!我々はこのまま殲滅に移る。」


ファーストチームは調査並びに殲滅するため、その足を進めた。彼らが一定の距離だけ近づいた時、巣の中からハエ型のモルスが彼らを襲った。


「殲滅しろ!」


戦闘が行われている間に繭の一つにひびが入り羽化をし始めた。


「ボス!1つ羽化します!」


「全員警戒しろ!」


その繭から這い出てきたモルスは人の姿をしていた。しかし、それが敵であることは全員が本能的に感じた。


「人型?!」


そう一人が発すると同時に怪物が姿を消した。


「ボガァ!?」


人から聞こえてはならないという音を立てたとともに一人死んだ。何が起きたの誰にも理解できていいなかった。ただ目の前の怪物が消え一人仲間が死んだ、ただそれだけのこと。


ありえない。ファーストの隊長は必死に頭を整理したが追いつかない。こいつをどう倒すべきか。繭があと二つ残っていることもし同じレベルの怪物が出てくるとしたら確実に全滅することも頭を駆け巡った。


「展開しろ!セカンド!本部からの応援は!」


「あと10分です!γが来ます。」


10分?持つわけない何が起きたかも理解しきれていない状況で10分は無謀だ。ここが死に場所か。


「ボス!なんとかするしかありません!相手は恐らく素早さに特化している個体です。我々では能力の使用で奴らには追い付けません!身体強化で対抗します!」


仲間の声で何とか正気に戻れた。


「全員聞いたか?!死にたくなかったら集中しろ!耐えきるぞ!!」


「了解!!」


とはいえどうする?姿を捉えることが出来なければ対抗できない。


「フォー!デコイを張れ!」


フォーは能力を使用し自分と同じ姿をしたデコイを生み出した。


「デコイにヘイトを向けさせます!」


生み出せるデコイは3体それを巣と逆方向に三方向に放った。デコイは走りながら隊列を離れていった。


動かない…なんでた…


「敵、動きませんね。姿も見えませんが」


どうなっている。相手が動かない時間のおかけで少し冷静になれた。周りを見ればハエ型の怪物も姿を消している。今いるのはファーストチーム4人と未確認の敵だけターゲットは明確なのに攻撃しない。


「ボス、もしかしたら巣を攻撃しない限りは何もしてこないんじゃ?」


「その可能性が高い。だが結局、あの繭を壊さない限り問題は解決しない」


「こちら本部、ファースト状況は」


ここで本部からの連絡が入り状況を伝えた。


「本部了解、180秒でγが到着する。」


あと三分で特殊部隊のγが来る。とてもこころ強い。攻撃されないなら待つほかない。


「全員距離を取って待機だ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る