あとがき

 「人間くさい」というお題を拝見。

 意味を改めて調べると、行動や仕草、感情などが人間らしいことを指す。


 ふと、冷酷非情な人間が見せる、人間らしさというもので、超A級スナイパー『ゴルゴ13』のエピソードがよぎる。

 私が読んだ解説本によれば、ゴルゴ13への依頼は日本円にして3000万円からですが、時として金額に関係なく砕けたダイヤの破片だけで依頼を受けたり、家出少年が死の淵で差し出した手づかみの金で依頼を受けたりする。

 依頼に対し非情に徹する彼が、徳にも利益にもならないことをする理由は分からないけれど、ゴルゴ13のそんな姿に、金の為ではない人間らしさというものを感じたものです。

 そこから、私の持ちキャラで殺し屋的な存在を考えるものの、ゴルゴ13のように完全に非情になりきれているキャラがいない。

 金にがめついという設定で、裏社会の仕事の斡旋人・口入屋の月宮七海がいることから、彼女を主役にある程度執筆するも、怪異で書いてみたいと思う。

 怪異・妖怪は、ある程度人との会話ができる存在がいるので、書きやすいかなと思うものの、改めて『人間くさい』を考えると難しいことが分かる。

 本所七不思議の一つ、「置いてけ堀」は、釣りをして帰ろうとすると「置いてけ、置いてけ」という声が聞こえてきて、魚をすべて返さなければ帰れないという怪談。

 釣った魚を横取りするという意味では、非常に人間らしいと思うものの、人間らしいというより、セコいと思ってしまう。

 なので、色々と怪異を調べて、『討債鬼』に行き着きました。

 この怪異は、死んでも金を精算させるというもの。

 これを見た時に、これだ!

 と思う。

 動物でも道具を作り使うもの、家族や社会を作る存在もありますが、人間が使って動物が使えないものに、金というものがあります。

 金に執着する怪異。

 これは、非常に人間らしいです。

 ただ怪異を登場するだけでは、もったいないので、持ちキャラの神通師・飛鳥孔音を登場させ、伝奇アクションとしてみました。

 怪異と戦える拝み屋キャラは幾人かいますが、神通力は能力が5つに限定されるので、短編で活躍させるには、とても扱いやすい。

 調べるのは大変でしたが、伝奇アクションらしい戦いができて書いていて楽しかったです(^^)

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