第2話 もふもふだらけの異世界にようこそここへクッククック~

 転生すると思った瞬間ッ!


 転生していた。ズアッ。


 なんといっても、視界がわるい。転生して目が覚めたら男の子なら絶対に言いたいベスト3に入るであろう、あの名台詞が云えない。


「みしらぬ、もふもふ」


(ちなみに女性だったらおそらく「鏡を持ってきて」からの「黙ってれば美人なのに目つきがよろしくない悪役顔、これは令和のOO乙女ゲーム(ラノベ)「転生したら逆ハーレムだった件」に出てきて婚約破棄される悪役令嬢△△だわっ」「どうしてこうなった」までがお約束。)←おっさんよく読んでるな。


 ぬくい。なんとなくもふもふ。ちょっと獣くさい。じたばたもがいてみるが、あんまり移動距離を稼いでいる気がしない。いつまでたっても、どこまでいっても、ひたすらモフモフの中。


 自分の身体は、かなり縮んだ感じがある。おれさま、ちびすけ。そして軽い。体中の痛みと重さに悩んでいたころと比べると、天地の差、それも異世界と前世くらいの差。負の数を考えれば足し算と引き算は同じ。スカラーもベクトルもたぶん同じ。


 いまのおいらはベクトルだ。食べて寝る、そのために進む。モチベーションとドライビングフォースだ。ポテンシャルのカタマリだ。


 おそらく、なんとなくだが、ここは、有袋類の袋の中だ。そうに違いない。


 感覚としては、母乳の匂いのするほうに進んでるつもりだが、届く前に餓死するんじゃないかこれ、というレベルで遠い。ちっとも進まない。おなかがすいて、もうだめかも。


 とりあえず寝る。食事はそれからだ。(社畜なみ結論)

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