第46話「取り残される私の想い」

#第46話「取り残される私の想い」


ルカ、リナ、マルク兄、カイ、そして私が揃ったその場で父さんがぽつりと呟く。


「なあ、リナ……俺、目が悪くなったのかもしれん……帳簿の数字がどうにもおかしいんだが……」


父さんの執務室に呼ばれたときは、何か問題でもあったのかと思っていた。父さんの手には帳簿、そしてそこに並ぶ数字を見て困惑していた。


いつもは堂々としている父さんの弱気な声に思わず心配になる。でもリナは当然のように言った。


「どうしたの?私が帳簿の間違いをするはずがないじゃない」


「ああリナ、今月の収益(利益)が……どう見ても2になってるんだ。酪農地や農産地の整備、平民の家のリフォームとかでかなり支出が増えたはずだろう?なのに収益(利益)が2倍。よく見ると収入がとんでもないことになってる……リナが付けた帳簿、何か間違えてないか?」



私はびっくりした。利益が2倍!

ずっと苦しかった我が領、ようやく利益が出てくるようになったのだけど更にその利益が増えているらしい。そんなことがあり得るのか?


でも、リナはなんてことないように言った。


「間違ってないわよ。麦わら帽子などの販売がそれなりに好調で特許料と販売利益がリヴェル領とハーベル領から入ってきてるの」


そうか……あの商談がもう結果に結びついたんだ。あまりの早さに驚きはしたけれど、ルカとリナの行動力を思えば納得もできる。


「まさか……そんなに売れてるのか?」


「ええ、まずまず、ね。ただ、リヴェル派閥とハーベル派閥の商人たちは喜んで売ってくれてるけど、他の派閥の店では売りにくいみたい。それが今後の課題ね」


リナは凄い。領の利益を2倍するという、とんでもなく凄いことをしているのに全く満足していない。それどころか今後の課題を既に考え、どうしたらもっと利益が増えるかも考えている。


「……いやしかし……ほんの数年前まで、赤字で収支を合わせるのがやっとだったのに……収入が増えてきてびっくりしていたところにその収入がどんと増えてな……どうにも理解が追いつかん。本当にこれでいいのか?夢じゃないのか?」


「じゃあ、その分を更に領の開発に回せばいいんじゃない?」


「その通りだな!」


更に困惑している父さん、そこでルカが領の開発にお金を回せばいいのでは?と提案している。そしてその言葉にマルク兄が呼応する。


そしてマルク兄はすぐに次にどこに開発すべきかと提案、その案にカイは仕事が増えると嘆きながらも、前向きな提案をしている。



そんな中で私だけは――何も言えなかった。


みんなが領の未来を見て、次にすべきことを語る中で、私はただ「すごいな」と思うばかり。


そしてルカはいつも通りみんなの後押し、そして今回の利益増の手柄をリナに譲ろうとしている。謙虚で優しい弟……。



私の兄弟姉妹はみんなすごい。それぞれ自分の領域で能力を発揮し領をどんどん良くしていく。


でも私は魔法だけ。それしかできない私は、領の利益にも、開発にも今は何も関わっていない。家族の会議にいても、ただの「同席者」みたいな気がしてくる。


私はこのままでいいのだろうか?

本来は長女として兄弟たちを引っ張っていくべきなのに。

成長し、結果を出し続ける弟たちに、私は――置いていかれているように感じる。


何かを変えなければ。

私にできることを探さなければ。

魔法だけではない、私の価値を……。


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あと1週間ぐらいで最終回かな?(とは言っても本編の公開状況で随時更新が入るとは思いますが)。


ルカ主人公の本編の方は毎日更新が続きますので毎日読みたい人はそちらもどうぞ。


転生貧乏貴族~魔力微力チート無しからの成り上がり!~

https://kakuyomu.jp/works/16818622174444390930

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