第45話「リヴェル領とハーベル領との商談」

#第45話「リヴェル領とハーベル領との商談」


リナによると麦わら帽子と篭は売れるらしい。しかし生産が追いつかないということで嘆いていた。うまくいっても更に上を目指すリナの向上心が凄い。


そこでルカが提案したのがリヴェル領とハーベル領への協力要請だった。


そしてリナとルカが商談のためにリヴェル領とハーベル領へ行くということになった。

それには私も当然のこと付いていくことにした。リナとルカの2人だけで行動するなんてずるいからね。



まずはリヴェル領に到着。


そして早速、応接室に通してもらった。


そこには、私がライバル視している格上の魔法使い――シルヴィもいた。彼女はまだ9歳だけどすでに国でトップの魔法使い。私はまだ勝てないだろうがなんとか食らい付いていきたい相手だ。


ただ彼女は魔法使い、今回は商談だから私は出番がないはず。なのに、なぜか彼女も同席していた。

あまり関係ないのに……ちょっとだけ心がざわつく。


しかも、ルカは麦わら帽子と篭のセットをプレゼントとして手渡していた。そのプレゼントにシルヴィは凄く喜んでいる。


リナと一緒に考えたプレゼント戦略だろうが……少し、いや、かなり悔しい。

私も、領に帰ったらルカに何かプレゼントしてもらわなくちゃ。


それにしても、ルカの才能は本当にすごい。

リヴェル領の当主、エグバルトさんも驚いていた。


「この製造方法ノウハウはなんと分かりやすい……これは本当に君が書いたのかね?」


「はい。初めてなので、粗い部分もあるかもしれませんが……」


製造ノウハウと販売委託に関する文書の一部はルカが作ったらしい。たった六歳なのに、書類の構成から条項の書き方まで、大人顔負けの出来栄えだとエグバルトさんが絶賛していた。



しかもルカの提案はリヴェル領がかなり得するものだったらしい。そしてさすがにルカの提案は受け入れられないということでエグバルトさんはリナと交渉していくことになった。


おそらく今回でルカの評価は更に上がったことだろう。そしてこの領にはシルヴィがいる。彼女はルカを狙っているかもしれない。要注意だ。



翌日はハーベル領に向かった。


こちらでは将来の剣聖候補、ノアが同席していた。

やはり今回も商談とは無関係のはずなのに……やっぱり来ている。


そしてやはり、ルカは麦わら帽子と篭のセットを渡した。

……まただ。プレゼント戦略だとは思うが、くぅ、悔しい。


昨日と同じようにハーベル領の当主ミレオさんがルカの提案に驚いていた。まずはルカが麦の生産方法のレポートを提出した時のことだった。


ミレオさんはルカのレポートを見て興奮して語った。


「まさか……麦の2期作が可能だと?うちでも何度か試したが、ことごとく失敗に終わったのだぞ?」


「なるほど、麦は育つときに土壌から栄養を吸い取るから追加の肥料が必要と思われるか、肥料の組み合わせも有効と……これは興味深い。すぐに試してみよう。一区画を使って検証させてもらう。もしかしたら国の食糧事情が一気に改善するかもしれない。とんでもないぞ、これは……」


「それでこのノウハウの対価はどのぐらいを要求するつもりだ?」


興奮するミレオさんにルカは何事もなかったかのように返事する。

「いえ、そんなのいりませんよ。先に麦の種と育成ノウハウ貰っていますよね?」



ちょっと待ってルカ。さすがにこのルカの話がおかしいのは私にも分かる。国の食糧事情を変えるかもしれないようなとんでもない情報。それを対価無しとかありえない。


それはあり得ないということでそこで再びリナが登場。話を詰めていく。こうやって見るとルカとリナはいいコンビだ。ルカはかなりやりすぎなところがあるからそれをリナがうまくフォローしている。


そうして麦の新たな生産方法の話だけでなく、麦わら帽子の生産と販売の委託も話がまとまっていった。



そして……この2日間、私は何もしていない。


もちろん護衛としての役割は果たしたけど、実際に領の事業に貢献したのはルカとリナ。2人とも本当にすごい。


……私は魔法しかない。


それは分かっているけれど、それでももどかしい。

私も何か、領のためになることがしたい。

もっと……頑張らなくちゃ。

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