第47話「弟と並ぶ絵の中の私」

#第47話「弟と並ぶ絵の中の私」


帳簿の数字が2倍になったという報告があってからも、リナの表情は冴えなかった。


「リヴェル領とハーベル領では順調だけど、それ以外の領では思ったほど売れてないの」


彼女はそう言って、特にエルミーナ領やバストレイン領などエルミーナ派閥の領では売れ行きが鈍いと悩んでいた。


私は収益が倍になったことに凄いことだと驚いていたけれど、リナは更に先を見据えている。


成功しても満足しない。本当に凄い。彼女はこの家で一番の才女かもしれないな。


そんな中、リナとルカが私のところにやってきて、突然こんな提案をしてきた。


「リリア姉の絵を描いて、それを販促に使いたいの」


「は?」


私は最初、リナが何を言っているのか分からなかった。そこで説明を求めたのだ。


そしてルカの説明によれば、私はエルミーナ領などで人気があるから私が使っているというだけで麦わら帽子や篭の売り上げに繋がる可能性があるという。確かに私はエルミーナ領ではリリア様と呼ばれていた。


更に聖女様を助けたことになっていて、とんでもない歓待を受けた。本当はルカが助けたのに…巻き込まれたことを思い出す。


だから私が麦わら帽子などを使っている絵を飾るということか。なるほど理屈は分かる。でも……恥ずかしすぎる。


「そんなの、絶対に嫌よ」


でも、売り上げに貢献したい気持ちもある。

兄妹みんなが領のために何かをしている中で、私だけが何もしていないわけにはいかないしどうしようか?


悩んでいた私に、ふと一つの案が浮かんだ。これはかなり良い案だと思う。


「……絵をルカと一緒に描いてもらうなら、いいわよ」


ルカと一緒ならば絵を描いてもらうのは悪くない。いや、凄く良い。それなら恥ずかしさも少しは紛れるし、なにより――記念になる。


当然、ルカは戸惑っていたけれど、私はしっかりと説得した。


「ルカだって剣術大会で優勝したでしょ?有名なんだから一緒に描かれるべきよ。私はルカが一緒でなければ嫌よ!」


理論武装は完璧。リナも背中を押してくれて、ルカも観念した様子だった。


そしてテオが絵を描いてくれることになった。


いざ絵の制作が始まると、何度もポーズを変えさせられて大変だったけれど……それでもルカと一緒ならば苦にならない。私は凄く嬉しかった。


中でもお気に入りの一枚は、ルカと私が並んで笑っている絵。


リナに言って私はそのうちの一枚をもらった。


「モデルになったのだから、報酬として1枚ぐらいもらっても当然よね?」そう言うとリナは笑っていた。了承してくれたようだ。


私の中では、この絵はもう宝物だ。


今後、何が起きるかなんて分からない。けれど――


絵の中では、ずっと私とルカは2人きり。

その事実だけで、私は少しだけ満たされた気がした。

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