第36話「熱烈な歓迎と聖女の影」

#第36話「熱烈な歓迎と聖女の影」


王都へ向かう道中に聖女様が乗った馬車が魔物に襲われているところに遭遇。そこで私たちは魔物を退治すべく動いた。


特にルカの動きは素早く、あっという間に聖女様の馬車を襲う魔物を討伐。聖女様を救った。


しかしながら現場にいた女性騎士は混乱しているためか状況を把握していない。少し遅れて到着した私が魔物を討伐したと勘違いしてしまった。


「リリア様、ありがとうございます」と伝えてきたのだ。


ルカを見ると首を振っている。ルカの魔法は秘密だから……しかたなく私が討伐したことにしたが……ルカの成果を私が取り上げたようでなんとも、もどかしい。



その後、私たちは“聖女様を救った騎士団”として大歓迎を受けることとなった。


特に聖女様を守ったとされる私には、賛辞の言葉と贈り物、食事、そして参加している貴族や騎士たちからの熱い視線が注がれことになった。


「な、何でこんなことに……」


代わる代わるやってくる貴族や騎士団の人達の挨拶に困惑しながらも、私は目線でルカを探した。するとルカは、さきほどの聖女――セレナ=エルミーナ様と親しげにベランダで話をしているではないか!


「おかしい……噂では男嫌いと聞いていたけど違うのか?」


なぜルカとそんなに近く……? 胸がざわつく。


いつもならばすぐにその場に急行するところだが今はさすがに無理だ。歓待を受けている私はその場を動くわけにもいかず遠目で眺めているだけだった。あとからルカを問い詰めないと駄目だろう。



その晩、私は安眠のため――という名目で、ルカと同じ部屋で寝ることにした。もちろん、これは不可避なこと。面倒な誤解を招いた責任は取ってもらう。ついでに聖女様と何を話していたのかも問いただす必要がある!


「ルカ、今日は私の部屋で寝ましょう。面倒なことを押し付けたんだからこれは絶対よ!」


「うん、分かった。……さっき聖女様に治癒魔法を教えてもらったんだ。リリア姉にも教えてあげる!」


「ルカはなにを言ってるの?治癒魔法は聖女様の専売特許。私達一般の魔法使いは、いくら頑張っても使えないわよ」


「……そうなの?」



いや、ルカならばもしかして?という気持ちもあった。でも私は何故かそれは触れないようにした。


いや私の気持ちは明らかだ。ルカが治癒魔法も使えたら遠くに行ってしまうかもしれない。それは私の思い描く未来ではない。


本当は確かめる必要があるのに私は現実から逃げてしまった。

それが良いことなのか悪いことなのか?私には判断が付かなかった。


今は近くにルカがいる。それだけで幸せだ。私はそのままルカと共に眠りについた。

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