第31話「募る不安と解消法」
#第31話「募る不安と解消法」
私とルカの魔力が、なぜか飛躍的に上がった――
それを探るために作った魔法訓練所は、順調に動き始めている。
責任者はもちろん私だ。
まだ五歳のルカに任せるわけにはいかないし、私が“魔法使いのエース”と呼ばれるようになった今、周囲の信頼を得るためにも私が前に立つしかなかった。
もし、この訓練所で原因が分かれば――
魔力が上がる仕組みを突き止めることができれば、私たち姉弟だけじゃない。
この領には新たに魔法騎士団を作ることだってできるかもしれない。
それは、この領の未来を支える希望だ。
そうして訓練所は順調に始まった。
候補者を絞り込み、やる気のある若者と子どもたちが汗を流している。
ルカも小さな身体で年の近い子どもたちを指導している姿が可愛くて、そして頼もしくて、心の底から誇らしかった。
でも――
問題があった。
それは私自身だった。
ルカはどんどん成長する。そしてどこかに行ってしまう。そんな不安な気持ちがどんどん強くなっていったのだ。
そして私はルカとのミーティングの途中で私は怖くなって思わずルカに抱き着いてしまった。
「これ以上ルカが成長したら遠くに行くんじゃないかと怖くなってきた」「どこにも行かないで」
こんなことを言われてもルカは困るだろう。でもルカはやさしかった。
「大丈夫だよ。リリア姉は大事だし家族も大事、どこにもいかないよ。一緒に頑張ろうよ」
そう言って、頭を撫でなだめてくれた。本当にルカはやさしい。いつも私が欲しい言葉をくれる。いい弟だ。これじゃどっちが年上か分からないな。
その時は一瞬は落ち着いた。
でも、そんなルカからやさしいことばをもらっても不安は尽きることはなかった。
しばらくの時が過ぎ……不安は大きくなっていった。
ここ最近は夜が怖い。
ルカが成長していくのは、本当に嬉しいことだ。
でも――成長したルカは、いずれ私の元を離れていくのではないか。
考え出すと止まらなかった。
それに加えて魔法訓練所の責任者としての仕事、訓練生たちを預かる責任――
いろいろなことが重なって、私の胸の奥に暗い影を落とす。
眠れない夜が続いた。
何度も寝返りを打っても、瞼を閉じても、ルカの笑顔が頭を離れなかった。
そして、いつかその笑顔が遠くに行ってしまう――
そんな未来を考えるだけで、胸が苦しくなる。
眠れないまま朝を迎えた日、私は診療所に足を運んだ。
「最近眠れなくて……」
事情を話すと、診療所の先生は少し困った顔をして私を見た。
「リリア様、これは精神的なものですね。領の未来も背負って、大好きな弟さんのことも考えて……寝られなくなるのも無理はありません。」
「……どうしたらいいでしょうか。」
私が問いかけると、先生は小さく笑って肩をすくめた。
「そうですねぇ……いっそ弟さんに一緒に寝てもらったらどうですかね?まあこれは冗談ですけどね。とりあえず簡単な薬を出しておくのでそれで様子をみてください」
「……ルカと一緒に……?」
頭の中で、その言葉が反響した。
弟と一緒に寝る。
ルカと……?
私は帰り道、思わず笑ってしまった。
考えたこともなかった。
ルカと一緒に寝るなんて――でも、凄く嬉しいことかもしれない。楽しそうだ。
確か一度だけあった。母さんと一緒で3人で寝たんだ。その時も凄く楽しかった。
歳の離れた弟と一緒に寝るのだから別におかしくない……よね?
ルカはまだ五歳の子どもなのだから。
「決めた……ルカにお願いしてみよう。」
私はその夜、ルカを私の寝室に呼んだ。
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