p.32


ふと、李玖が笑いながらカップを指さした。




「ていうかさ……

文学部って、レポート多くない?」




「うん、地獄だよ?」




即答したら、李玖が吹き出す。




「だよな。毎週毎週、“〇〇について自分の考えを述べよ”とか言われたら、俺だったら心折れる」




「しかも、先生によって“考察”の定義が違うんだよね。ある先生は“感想文か?”ってくらい自由だし、別の先生は“論文書け”ってくらいガチガチだし」




「マジで大変そう……」




「そっちは?

法学部も結構キツいんじゃないの?」




「うちはレポートっていうか……

課題の量と量と量」




「量って3回言ったね」




「大事なことだから」




ふたりで笑い合う。




レポートの話なんて、




ほんとは全然楽しいものじゃないのに、




なんか、一緒に笑ってるだけで




ちょっと軽くなる。




「……今度、図書館でレポート作業でもする?隣の席キープしといてあげるからさ」




「え、それって“苦しみを分かち合おう”ってこと?」




「そう、戦友になろ」




冗談っぽく拳を突き出した李玖に、




笑いながら軽く拳を合わせた。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る