茉耶 side
講義が終わって、時計を見る。
13:27
あと30分くらい。
……落ち着け、私。
さっきから、鏡の前で前髪を直しては、
ため息をつくのを繰り返してる。
「会うだけ。話すだけ。
……なのに、なんで緊張してるんだろ」
ずっとずっと、会いたかったくせに。
ずっとあの日を思い出して、
歌に乗せることでしか、
あの想いを手放せなかったのに。
目の前に現れて、
名前を呼ばれて、
「また会おう」って言われて。
……胸の奥で、何かがほどけた気がした。
髪をひとつにまとめていたゴムを外して、
ふわっと巻いた髪を下ろす。
カジュアルすぎず、でも気合い入ってるって
思われすぎないよう朝選んだ服...
最後に、大学のトイレの鏡に向かって
ちょっとだけ笑ってみた。
「……行こ」
歩き出す足は、少しだけ速かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます