p.18


トーストをくわえてソファに座る。




スマホは手の中にあるけど、




返信なんてすぐ来るわけないよな、




って思いながら一口。




──その瞬間、

**「ピロン」**と通知音。




「……まじ?」




まさかの即レス。




思わずスマホを持ち直して、LINEの画面を開く。





茉耶 ➤ 李玖


おはよう☺️

私も……ほんとに楽しみにしてる。

近いうち、時間合うとき教えてね。





文字の中に、茉耶の声が聞こえる気がして、




胸があたたかくなる。




あの夜、ただ必死に名前を呼ばれて、




助けに行ったあの茉耶が、




今こうして笑顔で「また話そう」って言ってくれてる。




──5年の空白が、




少しずつ、埋まっていくのがわかる。




「……行ってくるか」




上着を羽織り、




バッグを肩にかけた俺の足取りは、




少し軽かった。





_____


李玖 ➤ 茉耶


今日の午後、空いてる時間ある?

キャンパスでもどこでもいいから、

また少し話せたら嬉しい。


_____




スマホを見つめながら、




心臓がトクトクと、




さっきよりもはっきり鳴っているのがわかった。




返信が来るまでの数分が、永遠みたいに感じる。




だけど...



_____


茉耶 ➤ 李玖


14時〜16時、空いてるよ!

あの中庭、また行ってみる?


_____





「……っ、これはもう……誘われてる、よな?」




ひとりごとの声に、自分で照れて頭をかく。




でも電車の窓に映った俺の表情は、




いつになく晴れていた。


















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