廃工場のクイックシルバー　～幽霊少女と彼方の歯車～

　人の寄り付かない不気味な近所の廃工場。その屋上で投身自殺を試みていた少年、伏見灯真。彼の目に飛び込んできたのは、薄暗い工場の中へと消える銀髪の少女だった。死への一歩を踏みとどまり、少女の存在に興味と不可解な導きを感じた灯真は、彼女を追って廃工場の奥へと進む。しかし、そこに少女の姿はなく、代わりに、ひとりでに不気味な音を立てて回り出す、未完成のオルゴールを見つける。

　その日以来、灯真は不思議な力に目覚める。それは僅かながらも「触れずに物体を操る異能の力」だった。

　この狭い世界、短い人生の中で、どう生きていくべきか。
　特異の力を手に入れた少年は、一人の幽霊少女と数多の異能力者を巻き込んだ、壮大な戦いの渦の中で、自分自身と向き合うことになる。

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