消化器内科
突然の胃もたれ
時期としては脳神経内科と整形外科に行った直後で、突然私の胃がおかしくなった。
多少の前兆として異様に喉が渇くようになった。関係あったのかどうかは不明なのだが変に喉が渇くな? と思ったあとすぐに胃がもたれた。
もうぜんぜん何も食べられなくなった。何を食べても胃が引き攣り、私は常備していた市販の胃薬をとりあえず飲んでいた。
胃はもともと弱かったのだ。それにこの、去年の十二月より数カ月前から、時々胃もたれが起こっていた。だからはじめはいつものもたれか〜、くらいに思っていたのだが甘かった。
痛みが尋常じゃなくなった。前までは効果のあった(と思われる)市販の胃薬が一切効かなくなった。異様な喉の渇きはほとんど初めてだった。私は流石にこれはまずいと焦り、D病院をまた訪れた。
当たり前だが消化器内科に回された。その時に受付のお姉さんが、申し訳なさそうに眉を下げながらこう言った。
「すみません、消化器内科は患者さんが多くて……かなり長時間待って頂きます」
はい、と答えはしたが、本当にかなり長時間待った。数日前に脳神経内科でも二時間ほど待っていたので「これがD病院のデフォルトなんだな」と納得はしたが、それよりも更に待った。ぜんぜん番号を呼ばれない。私が待っている診察室へ続々と患者さんが入っていく。受付を済ませた予約患者さんが私よりも先に呼び出されて診察室に消えていく……。
バチクソに限界だった。三時間経ったか……?という辺りでやっと呼ばれた。
診察室で待っていたA先生は、独特なまばたきをする先生だった。
「えー、胃もたれ?胃潰瘍の経験は?」
「ないです、とにかく今すごくもたれてて」
「フゥン……とりあえず胃カメラ撮りましょっか」
「あ、はい、じゃあ処置室に?」
「今日は予約パンパンだから無理だねー、一週間後でいいかな?」
えっまだ待つのかよ正気かよ? そうは思いつつ予約パンパンの大病院、おとなしく一週間待つしかないとも理解する。
一応ということで胃薬を出してもらったが、帰宅して飲んでもぜんぜん一ミリも効かなかった。ついでに胃もたれは延々と続き、一週間ほとんど何も食べられなかった。
もうこの時はとにかく地獄だった。胃もたれにうんうん言っている間に段々と精神が落ちていき、背骨と肩甲骨が相変わらずズキズキと痛く、全身が重くて特に左半身が鉛のようでありながら常に攣っている感覚だった。
一週間後の胃カメラまでが本当に長く感じられた。
やっと訪れた当日、ふらふらとD病院で受付を済ませ、胃カメラを撮る部屋にやってきた。
実は胃カメラは二回目だった。若かりし頃にも一度、胃の不調を感じて撮ったことがある。その時は特になんともなかった。今回はどうだろうなと思いながらスタッフさんの言う通りに寝転がり、口にカメラをぶっ込まれた。
胃カメラ映像を映し出すモニターが見える位置にあった。それを見上げつつ、胃カメラ技師さんが時々口にする指示に従っていると、急にふふふっと笑われた。
「きみ、胃カメラ飲むのうまいね!」
「ふぁ!? あが、が、」
「話さなくていいよ、ふふふ……」
今度なにかで特技を書く必要があった時は「胃カメラを飲むこと」と書こうと思った。
そして胃カメラ撮影は何事もなく終わり、また二時間ほど待ったあと、ようやくの病名公開診察が始まったのである。
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