仕事
シゲちゃんが運転する車で仕事の現場に向かいながら内容について打ち合わせを行う。
途中で商品を回収して現場に到着すると、シゲちゃんに商品の下処理を任せてあたしは仕事の準備に取り掛かる。
「お嬢、用意出来ました」
「ありがとう、こっちも準備オッケー!!始めちゃおっか」
「はい」
シゲちゃんは返事をして後ろに1歩下がる。
あたしは怯えて震える商品に近づくと、大丈夫、怖くないよ〜と宥めながら左手の薬指をハサミで切り落とす。
途端に商品が絶叫して暴れ始めるが、しっかりと拘束されているので意味はない。
「痛い?」
あたしは心配して声をかけるが、まともな返事は返ってこない。
まぁいつものことだ。
あたしはハサミについた血を丁寧に拭き取って、それをカバンに片す。
切り取った薬指はシゲちゃんに預ける。
この辺の流れはもはや慣れたもので、流れ作業のようにスムーズに進む。
それから、恐怖と激痛で泣き叫び、血やら何やらを撒き散らしている商品の頸動脈を切断し、血抜きに移る。
仕事を済ませた証拠に商品を持ち帰らなければならないため、血抜きをして商品の状態を良好に保つ為の工程だ。
ここで手を抜くと商品が傷んでしまい、あたし達も顧客も不快なことになってしまう。
血抜きを済ませた商品もシゲちゃんに回収してもらえば、あたしの今日の仕事は終了である。
作業が終わった商品をシゲちゃんに任せて、道具の片付けをしているとシゲちゃんが話しかけてくる。
「あの、お嬢」
「ん?なーに?」
「1つお尋ねしたいことがあるのですが」
「いーよ!なんでも聞いて!!ウェルカムウェルカム!!」
「では、失礼ながら……お嬢は何故、ターゲットの指を生きたまま切断するのです?
こういった家業の者の中には自分の仕事の証として何かしらのこだわりを持つ者も多くいますが……」
「しかしながら、生きたまま身体の部位を切断するというのは、ターゲットも騒ぎますし、血痕などの痕跡も多く残ります。些か非効率的なのでは?」
「なーんだそんなことかぁ。
そんなの簡単だよ」
「だって生きてる間に切った方が活きが良くて綺麗なんだもん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます