霊災事例④ さかさまさま

◼️ 死霊系モンスター報告書(概要記録)

報告者 : ギルド受付係(遭遇者:報告者の友人、魔道具研究者)

遭遇日時: 第七月・十一日 午後三時頃

遭遇場所: 北通りにあるカフェの前(転移魔法で移動を試みた際に遭遇) 

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◼️ 報告内容(抜粋)

・遭遇者:本ギルドの受付係の友人(非ギルド登録者、魔道具研究者)

・目撃時、転移魔法を用いて市から自宅に帰宅する途中、空間の歪みに吸い込まれるようにして消失。以後、3日間失踪。

・戻ってきた際、「逆さまの空間にいた」と証言。

・空間内はすべての物理法則が反転しており、物体は天井に貼り付くように存在。

・そこには、吉祥存在(例:ルミナスホーン、アルシェリス、神鏡など)の精巧な置物が、逆さまで多数陳列された直線状の回廊が存在。

・回廊の最奥にて「逆さまの自分自身」に遭遇。

・その存在に近づくと、口元だけが動いて「お前は違う」と発声。

直後、遭遇者は意識を失い、元の場所に戻される。

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◼️ ギルド窓口への報告内容 詳細

 先輩、さかさまさまって知ってますか? そうです、逆さま様ですね!

ワープ系の魔道具を使ったり、魔法使いが空間移動の魔法を使ったりすると稀に入り込んでしまうという空間のことです。全部の置いてあるものが逆さまの空間に入り込んでしまうらしいです。


 この前、私の友人がそれに遭遇しまして。これに遭遇すると、3日間ほど行方不明になってしまうので、皆で大騒ぎしてたんですよね。遭遇したかどうかは本人から聞かないとわからないですし。


 そこの空間、そこに置いてあるものは、全部吉祥を表すものなんですって。

 賢王の戴冠時に出現時に現れるという伝承が伝わるルミナスホーン(光角獣)や、天界の案内人と呼ばれるアルシェリス(聖蝶)の置物、浄化の効果を持つ神鏡とか。その他にもたくさん。全てが逆さまに飾ってあるらしいです。


 それらが置かれた道が1本まっすぐに伸びているので、その道を歩いて奥まで行くと………逆さまになった自分自身が現れるみたいです。 

 近づくと、その口から、


「お前は違う。」


と言われて、その直後、元居た場所に帰されたみたいです。


 他の遭遇例も聞いたことがありますが、皆無事に戻って来れているので、あまり怖くない怪異ですよね!良い子だったから、何か事件に巻き込まれたのか、戻ってこなかったらどうしようって不安だったんですよ。


 え?その友人は何か言ってなかったのかって?

 確か、逆さま様は、誰をそんなに呪いたいんだろう?って言ってたような気がします!

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◼️ 現象の推定

・空間断裂型・転位干渉霊災の一種。

・本来の次元座標と重なった亜空間が稀に顕現する現象であり、移動魔術系に強く干渉する。

・空間内部は死霊的なエネルギーと、祝福属性の物体が反転した状態が混在し、極めて異質。

・「逆さま様」は特定の人物を探している可能性が示唆される。

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◼️ 霊災等級(暫定)

無害

※現在のところ、直接的な危害の報告は無し。念のため、高位魔術師やワープ魔道具使用者は注意すること。

※なお、ここ数年の間で数件、高位魔法使いや、転移魔道具所有者が、突然行方不明になるという事件が報告されています。行方不明になったという現場付近で、転移系の能力を使用した痕跡があり、現在調査を進めております。本報告との因果関係は不明です。


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◼️ 対応

・対象地点周辺の霊導波測定を実施。

・魔道具組合に対して転移術式の安定性調査を通達。

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