第5話 プロットを練ってみた話その2
KADOKAWAファンタジア文庫より絶賛発売中のライトノベル「魔王は扇子で蕎麦を食う〜落語魔王与太噺〜」制作備忘録の続きです。
さて、基本方針が決まったのでプロットの練り直しだ。
「主人公が魔王キャラでVtuber配信をしていたら魔王が召喚されてしまう」というエピソードから膨らませていく。
Vtuberだと堂々と落語ができる主人公。でもリアルだととあるトラウマがきっかけで堂々とした高座ができない、そのトラウマを乗り越えていくという主人公周りの話。
常識知らずの魔王が前座修行を通じて落語に目覚めていく話。
二人の成長譚を軸にストーリーを考えていく。
方針が決まったところで全体の構成だ。ライトノベル執筆にあたって友人の蛙田アメコ先生に相談した際の話を思い出す。
「2巻が出るかわからないから書きたい事を全部詰め込んだ方がいいですよ」
とのこと。
それはそうだ。1巻で伏線を張るだけに終始して続刊が出なかったら仕方ない。
例えば「スレイヤーズ」や「涼宮ハルヒの憂鬱」でも1巻で大きな事件が起こりテーマとしてはひと段落し、その上で人気が出て続刊が出た。
ましてや僕はデビューかつ本業でない作家。続刊の保証なんてない。なので1巻ではある程度の匂わせはしつつ書きたいテーマはひと段落させる事にした。
書きたいテーマは上記の主人公と魔王二人の成長。これを絡めるために魔王の成長によって主人公が刺激されトラウマを乗り越えるキッカケができるという流れを考えた。
起承転結でざっと書くと
起 配信中に魔王が召喚され、前座修行する事になる
承 最初は奔放な魔王が前座修行を通じて成長していく
転 魔王の成長に対して主人公のトラウマが浮き彫りになる。魔王の言葉とある事件がきっかけとなりトラウマを乗り越える。
結 主人公は見事トラウマを乗り越えた。二人の修行は続いていく。
と、ここまでプロットを練ってみた。
これでもいい、いいが少し物足りなくなってしまった。
そう、せっかく成長した二人のライバル関係、対決を見たくなったのだ。
そこで起承転結を崩してみた。起承転承転結と山場を二つできないかと思いついた。
起 配信中に魔王が召喚され、前座修行する事になる
承 最初は奔放な魔王が前座修行を通じて成長していく
転 魔王の成長に対して主人公のトラウマが浮き彫りになる。魔王の言葉とある事件がきっかけとなりトラウマを乗り越える。
承 主人公は見事トラウマを乗り越えた。魔王との関係が変わっていき……
転 ライバル二人の最終決着。
結 決着がつき大団円。二人の修行は続いていく。
このようにプロットを膨らませてみた。アニメで例えるならテレビ1クールの内容に劇場版を付け足すようなもの。
かなり盛りだくさんの内容だが1巻しか出ないかもしれないのでやれることは全部盛り込んでみたい。
実際どのように話が展開したかは実際本文を読んで確かめてほしい。
結果的にこのプロットが通り本文執筆に取り掛かる事になった。
しかし落語を書く事と小説を書くことでは大きな違いがあるとこれから思い知る事になる……
続く
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