修羅

女郎花

第1話

憎しみの裏返しのやうな閃(せん) 黒き椿も切り裂かば紅(べに)

胴太貫(どうだぬき)ならぬ手鋸の刃こぼれに少年の母の首落つるなり

作法通り目瞑らせしや断首しし母をバックに納める際(きは)を

防御傷無数とあるは切なかり未明の床の母の血溜まり

夜の窓に見知らぬ自我を映しつつ少年はまた母を鋸挽く

産む為に流ししちしほ死ぬために流るる血潮 この子何処の子

身を切りて血潮に産みしをさの子が祝福のごとわたしを刻む

血もて血を洗ふやうなりそのかみの赤子じふしち母の血を欲る

じふしちがさんじふしじふと重ねゆく夢見に紅き母の首桶

くれなゐと呼ぶには冥きブラシの樹そらに無数の擦過傷生(あ)る・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

修羅 女郎花 @iwanohime

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画