【デートがしたいセフィーナ】

「ため息ついちゃって。情けないのは分かるけど、初心者だもの仕方ないでしょ?」



「あ、違うの。ちょっと羨ましくて、」



へへっと笑うセフィーナ。

何が羨ましいのと問われ、デートと答える。



「あー、確かに。ディノルドとのデートは絶対無理ね。あら?だったらウェスティも……」



「ウェスティさんなら大丈夫じゃない?ディノルドが硬派すぎるだけよ。他のナーガって普通だし……。」



彼らのペアに対する愛情は言わずと知れたもので、控えめではあるが、人前でのスキンシップも普通にしているのだ。



「そっか……。いつかデートできると良いわね。」



悲しそうに頷いたセフィーナの頭を撫で、そういえばとシルビアが尋ねる。



「ここで何してたの?」



「あ、忘れてた。薬草を採りに来たんだった。アレックス達がいたからつい話し込んじゃって、」



リリィがハーブを育てているハウスで、セフィーナは薬草を育てている。



「あら、新婚なのにもう研究室にこもってるの?」



「だってディノルドが構ってくれないんだもん。それなら薬の研究した方が良いし。」



「不憫ねぇ……。でも励みになるわね。双神目指して頑張れ!」



「うん、頑張る!」



満面の笑みでそう答える双神の弟子。

更なる上を目指して彼女は精進する。



「あれ?ママは何でここに?」



「3人がいたから何事かと思って来ただけよ。まあ、来て正解だったみたいだけど。」



情けないと言いつつも、協力は惜しまないつもりだ。

ペアを認めたのだから、幸せになってもらわなければ愛の女神の沽券に関わるのだ。



いや、そんなのは建て前に過ぎない。


協力を惜しまないのは息子達の為。

母親が望むのは子供達の幸せなのだから。



「うん。アレックス達には私の分もデートを楽しんでもらわなくちゃ。ママ、二人の事よろしくね。」



任せなさいと言った母親に手を振って、薬草を摘んだセフィーナは研究室へと戻って行った。



「貴女もいつか……デートができるわよ。」



無理かも知れないと思いながらも、そう呟き後ろ姿を見送るシルビア。



セフィーナとディノルドが初めてデートをするのは4年と少しが経ってから。

彼女の25歳の誕生日に、プレゼントとして贈られるのだ。


そのデートの時に、二人がお見合い以前に出逢っていた事が判明する。


蛇嫌いだったセフィーナが蛇好きになった幼き日の出来事。

好きになって当然だったディノルドとの出逢い。


二人がその日の事を思い出すのは、4年と少し後の事──。

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