【兄弟のプレゼント選び】

「アレックス、お前は何をプレゼントするんだ?」



「えーと、花束を贈ろうかと。ファネットには花が似合うと思いませんか?」



小柄な彼女が花束を抱える姿を想像し、その可愛さに顔がほころんだ。



「想像でニヤけんなよ。ま、確かに似合うけどな。」



「でしょ?マティアスは何を贈るんですか?」



「んー、悩み中……。」



ははっと笑うマティアス。



「悩んでいるなら花束にしてはどうです?花が嫌いな女性はいないでしょ?」



「だなー。んじゃ、早速買いに行くか。」



兄弟揃ってフラワーショップへ向かい、彼女達をイメージした花をチョイスする。

その花束を受け取り、店を出たところでマティアスが言った。



「これ持ってんの、すげぇ恥ずかしいんだけど。」



「え?花束がですか?何も恥ずかしい事はないでしょう?」



確かに、シャスタ似のアレックスが花束を持っていても違和感はない。

だが、シヴァ似のマティアスには違和感がありまくりだ。



「この風貌で花束はちょっとなー…。」



「あ、だったらしまえば良いじゃないですか。意外と便利なんですよ、あの空間って。」



思いきり活用しているアレックスが笑っていた。



「あの空間ってあの空間?」



「ええ。あ、もう一軒行きたい所があるので俺もしまっておきますね。」



アレックスの手からシュッと消えた花束。

それを見て、マティアスも花束をしまってみた。



「日常的に使ってんなよな……。まあ、確かに便利だけど。で?もう一軒って何買うんだ?」



「初デートの記念にアクセサリーを買おうかと。」



「なるほどねぇ。俺も何か買おうかな。」



何を買うかは見てから決めようと、とりあえずジュエリーショップへ向かった。


何を贈ろうかと品定めする二人。



「あ、これ良いですね。すみません、これを頂けますか?」



「うわ、何気に高価なの選んでるし。金持ってんだな、お前。」



「はは、アルバイトで貯めたお金がありますからね。」



聞いたマティアスが頬を掻く。



「俺、あんま金ねぇな……。」



「足りなければ出しますよ?」



「いや、それは遠慮する。自分で買わなきゃ意味ねぇだろ?買える範囲で探してみるよ。」



そう言って選んだアクセサリーを購入し、帰宅した二人が母親に花束を託す。


ドキドキしながら母親の帰りを待ち、喜んでいたと聞いてホッと胸を撫で下ろした。


それからデートの日までの数日間、二人は落ち着かない日々を過ごす事となる。

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