第2話 怪談系YouTuberのYの記録

どうも、怪談系YouTuberのYです。


登録者は1万人ちょっと。


まだまだ底辺だけど、ちょっとバズると一気に伸びるから、ネタには命かけてます。


そんな俺がやらかしたのが、「フォロワーゼロの女」って都市伝説を動画で取り上げたこと。


最初に聞いたのは、視聴者からのDMだった。


「@n0_follower_girlって知ってますか?調べた人が次々に消えてるって噂、動画にしてくれたら面白いと思います」


都市伝説ネタとしてはベタだけど「調べたら見られる」「関わるな」っていうフレーズが、そこかしこに・・・どうにもそそられるネタだ。


夜な夜なそのアカウントを探したら、運良く見つかった。


「@n0_follower_girl」


フォロワー:0


フォロー:0


投稿内容:数千件 ただひたすら「みてる」「そこにいる」「まだ、みてる」・・・。


面白ぇじゃん。


怖がらせ方が古典的だけど、逆にリアルで不気味である。


俺はアカウントをスクリーンレコーダーで記録しながら、実況する動画を撮った。


「やばいっすよこれw」


「まじで監視されてるっぽいwww」


「フォロワー:0なのに」って、テンション高めで煽りまくって。


その日の深夜2時すぎ、動画編集が終わってアップしようとしたとき、PCの画面が突然フリーズ。


それと同時に、通知音が鳴った。


「@n0_follower_girlさんがあなたをフォローしました」


「は?」って声出た。


さっきまでは誰もフォローしてなかったし、アカウントも非公開じゃなかった?。


しかも俺、YouTuberアカウントと連携してるTwitterは公開用とは別の捨て垢のはず。


どうやってたどり着いた?


確認すると、俺のTwitterのメイン垢に「いいね」がついてた。


しかも、自分のツイートじゃない。


「誰が投稿したの?」ってなるくらい不自然な投稿だった。


投稿内容は「今、後ろにいる」


投稿時刻:録画中の時間と一致


悪寒が走る、Twitterを即ログアウト。


パソコンもシャットダウンした・・・でも、電源が切れない。


電源ボタン長押ししても反応なし。


次の瞬間、ライブカメラのランプが光った。


俺の顔が画面に映り、その後ろに、もう一つの顔。


白黒、無表情、だが瞳だけが異様にリアルで、光を帯びている。


パニクって、椅子ごと後ろに倒れた。


その拍子にライブカメラが落ちて、画面が乱れた。


パソコンの電源もようやく落ちた。


室内を見回すが、誰も居ない。


背筋に寒さを覚え、その日は寝ずに朝を迎えた。


翌朝、YouTubeのコメント欄に見覚えのない投稿があった。


「次は、あなたの視聴者をみる。」


昨日撮った動画は、まだアップさえしていない。


しかし、サイトには動画がアップされていて、再生回数が「1」になっていた。


俺は慌てて、動画を即削除した。


その時、スマホに通知音、Twitterのメイン垢に「いいね」がついてた。


俺の知らないツイート・・・「あなたを見てる」


恐怖した俺は、すべてのアカウントを消し、機材も処分した。


でも、それからも深夜2時をすぎると、スマホに通知が来る。


アプリもすべて削除しているのに・・・


「@n0_follower_girlが写真を投稿しました」


タップすると、そこには寝ている俺のサムネ画像が加工されたような、異様な「投稿風の画像」があった。


今は動画配信もやめて、名前も変え、都会から離れた山奥で暮らしている。


それでも、電源の入っていないテレビの画面に、白い目が浮かぶことがある。


「見てるよ」


今、ネットカフェでこれを書いている「皆への警告だ」


もう、誰もこの話を信じなくていい。


でも、お前がもし動画やSNSでこの話を「ネタにしようとするなら、覚えておけ。」


彼女は・・・


「見られる」ことじゃなく、「見る」ことが目的なんだ。


そして、見られたら最後、どこにも逃げ場は無いって事を


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