第11話 銭ゲバ

        金が好き


って言うたら、白い目で見られるのこそなんでだろ?私、お金好き。お金にプロポーズしたいくらいやわ。


絶対嫌いになる事ないから、ずっと側に居て下さい。私を支えて下さいって告白できんのになぁ、お金様。それなのに、なぜか財布の中からスーッと居なくなってしまったり、貯金の残高が減ってしまったり。どうしてなのよぉ!

 

私、小銭を大事に扱わない奴嫌い。一定数いるんだよ、患者で。小銭をさ、床頭台の上にバーって出しっぱなしにしてる奴。ご飯運んで置きたいのにさ、ちゃんとしまえよ!って思う。


小銭はお金の種やのにさ。そういう奴に限って生活保護とか、おい!私らの税金の小銭なんやから大切にしまえっていつも腹立たしいわ。


 おタケさんも、お店一人で切り盛りしとるから、やはりお金大切にするでしょ?


「自分一人で商売してるからね。

それに、ほら肩書きとかないじゃない、アタシには。信用してもらうにはさ、テナントの賃貸やらお酒の支払いを滞らせないようにはするわねぇ。」


おタケさんは、白和えを出しつつ、私にそう言った。


 高齢の患者が、お金がない盗られたっていう騒ぎもあったさ。ホテルでも駅でも、自分のバッグや貴重品は自分で管理して当然やのに。なんで病院にいて同じように自己管理できないんだか、理解に苦しむわ。


「自己管理できないから、病気になっちゃう人もいるからじゃない。」


とおタケさん。冷静な分析です。


 そういうイライラをビールで流し込む。

はー、冷たいビールが喉元を一気に通り過ぎるのは快感だぁ。

ああ、今日も蒸し暑い日だった。


富永のおっちゃんもやって来た。


「今日もよく働いたわ。生!」

「お疲れ様、おっちゃん。」

「おお、お疲れさん。アライちゃん、

           6月は楽しみだろ?」


ああ、そうだ。6月は賞与支給があった。

賞与以上に働いてるけどな、こちとら。

幾らもらえんだか。

「たくさん貰ったら、

     おっちゃんに奢らないかんぞぉ。」

なんで、そうなるんだか。おタケさんも

「いっぱい飲んでもらわなくちゃね。」

って、おいおい、私のボーナスだっての。

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