第5回 授業で投資、簿記、経営あたりを教えるべき
前回からの続きになります、米はあまり関係ありませんが資料を理解することが大事だという話です。とある会社のいつかの決算報告から数字を引っ張ります。
左側の数字が2024年度、右側の数字が2025年度、%が昨対比になります。
売上高 300億円 369億円 123%
売上原価 281億円 335億円 119%
売上総利益 19億円 34億円 178%
販売費及び
一般管理費 15億円 16億円 107%
営業利益 4億円 18億円 450%
簡単に説明しますと、
売上高 米の販売額
売上原価 米仕入れ額と米を商品化するための材料費(米袋など)
売上総利益 売上高から売上原価を引いた額
販売費 販売をするための費用、宣伝費など
一般管理費 会社を運営する経費、地代家賃や事務所経費など
営業利益 売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた額
であり、大臣発言は売上高の123%と営業利益450%の部分に該当します。
まず、確認いただきたいのが営業利益昨対比450%ですが、薄利で営業していた会社が通常より多くの仕事をすると簡単に昨対比が増えます。
極端な例を出しますと、前年に売上高1000憶円で営業利益10円の会社が、翌年に売上高1010億円で営業利益1万円となりますと、昨対比が売上高101%で営業利益1000%になります。
設備や人員の余裕にもよりますが、米の生産流通にかかわる業者が営業利益500%になるのは暴利を上げているのではなく、今までが薄利であった証拠です。
次に、確認いただきたいのが2024年度売上高300億円に対し営業利益4億円である点です。これは3000円で米を売った利益が40円という意味になります。次に、2025年度は売上高369億円に対して営業利益18億円ですが、こちらは3690円で米を売った利益が180円です。売上高に対して営業利益が5%は一般的な会社並みの水準で高い数字ではありません。
そもそもの話になりますが令和6年末までに農水省が米不足の対策をとっていれば今まで通りの利益率であり、米卸売業者が不当な利益を上げているわけではありません。
さらにもともと利益率が低い業界であるのは限られた数社が独占していて新規が参入しないことが原因であり問題があるとの意見もありましたが、新規が参入できないのは年々米の生産量が減って業界の規模が縮小傾向にあることが理由です。
これはどの業界でも変わらないと考えますが商品の値上げをする際に値上げ幅を固定で上げるのではなく元の商品に対して割合で値上げをすることが多いはずです。売上原価が増えた分以上に利益が上がるのは通常の企業活動をしていれば当然のことであり不当な利益を上げているわけではありません。この決算報告に疑問があるというのであれば、上場企業の決算報告書を1000社ほど読み比べてみることをお勧めします。
令和7年6月10日に小泉農水大臣が備蓄米20万tを随意契約で追加放出すると発表しました。次回にまわします。
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