第3回 米をお小遣いに置き換えてみますと
店頭に米が戻りつつある現状で米不足を主張しても理解が得られないとは思いますのでわかりやすいたとえを出します。数字はモデルを簡略化するものなので正確ではありませんのでご了承ください。
まず米の流通の現状を簡略化しますと、
1,年間生産量700万t、これが一度に収穫されます。春秋分けて収穫とはなりません。
2,学校給食や、外食産業、お弁当など小売りに並ぶ以外の米の量を毎月44万tと仮定します。
3,小売りに卸される米は700-44*12=172(万t)となります。
4,備蓄米が100万tです、使用した備蓄米は原則翌年買い戻しです。
5,700万tの米は一年の間に使い切る必要があります。余った米がありますと生産過剰みなされ翌年に余った分減反指示が出ます。
これをサラリーマンが奥さんにもらうお小遣いに置き換えてみます。
1,一年間のお小遣いは9月に35万円を一度に渡されます。
2,お小遣いから昼食代を毎月2.2万円出しましす。
3,昼食代以外で自由に使えるお金の希望額は毎月1万円です。
4,緊急の場合5万円まで奥さんに交渉できますが翌年返す必要があります。
5,1年の間に使い切れなかったお小遣いはお金に余裕があるとみなされ、翌年のお小遣いから減額されます。
この仮定で令和7年の米の状況を再現しますと、お小遣いとして自由に使えるお金は35-2.2*12=8.6(万円)となります。
そして、できれば毎月1万円使いたいところを毎月8千円に抑えて生活いていましたが、半年経ち8.6-0.8*6=3.8(万円)となりお小遣いが足りなくなったため3月に緊急用から1.5万円をもらいまいた。
3.8+1.5=5.3(万円)は月8千円に抑えれば足りる金額ですが月一万円で生活するには足りない金額でしたので6月に1.5万円もらいました。
これで残金5.3-0.8*3+1.5=4.2(万円)となり、残り3か月を月1.4万円で生活できるようになりました。
これが令和7年6月までをお小遣いに例えた状況です。一部に米を値上がりさせる目的で米の流通を止めている業者がいると主張する方いますが誤解です。令和6年8月に店頭から米が消え社会問題になりました。お小遣いの例でいえば昼食代は残っているが自由になるお金がない状態です。実際のニュースでもスーパーの棚から米が消えましたが外食産業には米はありましたし、パックご飯などの米製品は残っていました。
米卸売業者は毎月一定量の米を消費する取引相手のために米の保管をしています。
お小遣いの例えでいえば昼食代に当たります。そして変動の大きい小売店に対しては残っているお米を1年持つように調整して米を流通させています。ここで重要なのが米の流通を制限する理由は、新米が収穫できるまで米の在庫を持たせることにあって、米の価格を高騰させるためではありません。
TVではJAが米の集荷競争に負けて予定数量より21万t少なかったと報道しますが、なぜほかの米卸売業者が高いお金お出して米をかき集めたのかまでは検証していません。作況指数よりも実際の収穫が少なかった為とする方がいますがこれも違うと否定できます。なぜなら作況指数が発表される前に業者が米を買い集めていたからです。
令和6年8月時点で業者がなぜそこまでして米を買い集めたのか、それは令和6年産の米が豊作不作に関わらず米不足になると予想出来ていたためです。
令和6年9月以降、米の在庫はあるとか、いついつ米が値下がりするなどの政府発表やTVの報道ばかりであったと記憶しておりますが、現状を正しく把握していた業者が、現状を把握していなかった農水省や報道機関に責められるのは筋が違うと考えます。令和6年末までに米不足を備蓄米の放出含め何らかの対策が取られていればここまでの米の高騰はありませんし、業者が利益を上げることもありませんでした。
ここで主張したいことは今更犯人探しをするのではなく、現状を正しく認識し米の生産能力が足りていないことに対する対策をとることです。今店頭に米が並んでいるので誰かが米を隠していて米価を高騰させたとするのは間違いです。(堂島の影響があったことは否定しません)
ここまで2年連続で米の需要と供給を見誤ってきました3年目がないことを願います。正直なところ犯人が犯人捜ししているようにしか見えない。
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