第2話 颯爽と消えゆく

『ゆう〜腹が減ったぞ〜』


「おま、悪魔は腹減らねーだろ」


世界を平和にしてからは随分暇になった、最近は特に悪も出てこないし、出てきたとて、警官がちょちょいのちょいでやっちまうからな〜、

『ゆう、お前最近たるんできてないか、』

「何だよ急に、そりゃあ最近は悪もすぐ倒されちまうし、特にすることがねーんだもん」

『だからってお前、流石に気が緩みすぎではないか?』

「大丈夫だって、」

と、油断していたその時だった、ビーー!ビーー!という音と共に警報が鳴り響いた、


『警報!警報!直ちに避難を!「災獣」です!』

災獣、それは一つの街を地獄のようにしてしまう怪物の名であった、


「な!何故だ?始末し損ねたか!?」

『いや、違うぞ、、、ゆう、これは、やばいかもしれないぞ、』

何があったのかは知らないが、外に出てみることにした。そこで俺たちが目にしたのは、、、

「な、何じゃこりゃ、」

辺り一面が炎の海と化していた

『ゆう、言うまでもないが これは「悪」の仕業だ』

「そうだけどよ、何故だ?前に全部片付けたんじゃなかったのか?!」

『確かにそうだ、お前は全部片付けた。』

一体何が起きているんだ?


10年前__

そう、俺達が世界を救った時だ。

街はあっという間に元どうりになり、賑やかさを取り戻していた。_____


「どう言うことだよ!せっかく終わったと思ったのに!」

『ゆう!そんな事言ってる場合ではないぞ!』

「分かってる!やるぞ!」

その声と共に俺の相棒ビドルギーは姿を変え鍵状に変化した

『ヨシ!イイゾ!』

「変身!」

『チェンジ ブレイブ!』

それと同時に俺の体にパワードスーツが装着され

『ブレイブパワータイプ』

「よっしゃ!行くぜ!」


グガァァァァァァ!と雄叫びを上げる災獣。

そこに颯爽と現れたのは、

「大丈夫だ!安心しろ!この俺が助けに来たぞ!」

そう叫ぶと辺りから歓声の声が響き渡った

「英雄と呼ばれし伝説のヒーロー....ブレイブ!ここに参上!」


そう言うと周りからさらに大きい歓声が鳴り響いた「これで大丈夫だ!」など「助けて!」などの声、その声、答えてあげよう!


『ゆう、分かっておるな。あいつの弱点は首元の中心、人間で言う喉仏らへんだ、』


「オーケー、任せろ」


そう言い俺は災獣へと立ち向かった、

その時だった...

「誰か!!助けて下さい!!息子が!!家の下敷きに!!」

そんな声が聞こえた、俺はその声を聞きその場に留まった。

『おいゆう!何をしてる!早くしないとまた被害が増えるぞ!』

分かってる。でも.........


俺は考えている暇など無かった


「大丈夫ですか!!今助けます!」

俺は急いで家の瓦礫を除き、目的の子供を探した

そして少しどかした瓦礫の隙間から子供の手が見えた、俺は一心不乱にその周りにあった瓦礫をどかした、そしてそこには、まだ息をしている子供がいた。その子を担いで急いで親御さんの所に持って行った、

「お母さん、お子さんは無事でした。」

「ゆう!!よかった、良がっだよーーーー!」

俺は一瞬だけ驚いた

「早く!急いで!あっちに緊急保護シェルターがあるから!」

とシェルターのある方を指差し答えた

「ありがとうございます!では!頑張って下さい!この街のためにも、この世界のためにも!」

俺は「はい!」とだけ答え、災獣へと向かった。


『ゆう.....よくやった!!』

「え?」

『英雄、ヒーローは助けの声には敏感なのだな、よし!ではメインを狩に行くか!』

「よっしゃー!いっちょ狩りますかー!」

『そうだ、ゆう、お前のベルトには実はもう一つ機能があるんだ、』

「なに?何だそれは?」

『それはな.......』


ブレイブウォータータイプ


『言いたい事は.....分かるな?』

「あぁ分かってるぜ、」

俺は勢いよく鍵をいつもとは逆に回した

『タイプ変身!ウォーター!』

その声と共に俺のパワードスーツに水がまとわりついた

『ウォータータイプ』

その声と同時に変身が完了した。

俺の肩には噴出可能なバズーカが装着され、腕には水流パイプが接続され手のひらから水が放たれるようになっている、まさに今この炎の海と化した街にはもってこいの変身だった、

『中々良いではないか、』

「あぁそうだな・・・」

重い!!

とにかく重い!!いつものパワータイプは特に何も装着してなかったけど、急にズッシリ系の物かよ!運動しときゃ良かった!

そう後悔する暇もなく災獣は暴れ回っていた

もうすぐ街が完全に消えて無くなる寸前だった

『ゆう!急げ!街がもうすぐ無くなるぞ!』

「分かってるって!行くぜ!激流ポンプ!」

俺はベルトの上についているボタンを押し、叫んだ

『必殺!「激流ポンプ!」』

腕に付いているポンプから激しい水の音がした

その直後、手のひらについている放出口からとてつもない反動と共に水が吹き出した

「なんて威力だ....!」

反動が物凄い!だがいける!これなら!

俺は手を合わせるようなポーズをとり両手から放たれている水をまるでスプラッシュしているような形にした

『なっ!何してる!』

こうすることによって霧状の水滴ができる、これを街全体に振り掛ける!

「そのままの威力じゃ街を破壊しかねない!この方法しかない!」

霧状だとは言ったが、それは目に見えるほどの水滴、雨のような状態だった

あっという間に街の火はかき消され残るは災獣だけとなった


「ようやくお出ましだな.....災獣」

熊の様でありティラノサウルスの様な咆哮を上げ俺に突進してきた

「決めるぞ!水竜バズーカ!」

俺はまたベルトのボタンを押して叫んだ、するとベルトからパイプが伸び、肩についているバズーカに接続された、そして.....

『必殺!「水竜バズーカ!」』

両肩のバズーカから水が発射された、それは空中で形を変え、竜の様な形になり、災獣の弱点目掛け飛んで行った....

だがその時だった

「ウィンド」

その言葉が聞こえた後、猛烈な強風が吹き荒れた

その強風に俺の放った水竜は掻き消された。

「なに!」

俺はあまりの強風に少しだけ吹き飛ばされた

やがて強風は晴れ、強風を放った奴の姿が見えてきた

『あっあいつは!』

奴はベルトを指差しながらこう言った

「久しぶりだね、ビドル......」

「ビドル?お前のことか?」

『あぁそうさ、俺の本当の名だ、』

「会いたかったよ、ビドル....いや、悪部隊から降ろされたビドルくん...」

そいつはやけに落ち着いた雰囲気のある奴だった

「てめー!何もんだ!」

「僕の名を聞こうってのかい?馬鹿じゃないのか?名も知らない君に答える筋合いはないよ...」

『ゆう、俺はあいつを知っている、』

「そりゃ見たら分かるよ、で?あいつは何なんだ」

『悪部隊副官 暴魔法の使い手「魔・オウマ」だ』

「悪の副官?」

「何教えちゃってんのさ!ビドル!......まっ、いっか?どうせバラされるだろうし、ね!」

その瞬間俺の顔の真横をナイフが通った、しかも物凄い速さで、

そして俺がナイフに気を取られているそのその瞬間、アイツは俺の真横に立っていた

「てめぇ何が目的だ、」

「目的は無いよ、ただ君に忠告しに来ただけさ、悪の王は君を気に入ってる、いずれ君を殺しにくる、」

俺を、殺しに?

俺はそいつの言葉にゾッとした、そう恐怖だ。

「殺しにくるとは言っても、またあの災獣などで、だけどね、じゃあまたね?」


その声と共にそいつはいなくなった。




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英雄ブレイブ わたたムシャ @watata401

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