第3章 3話 受け入れる

 落川さんの話しを帰宅してから父に話した。

「まだ、断らなくていいよ」私がそう言うと父は、

「お! 気に入ったのか?」と恥ずかしいことを訊いてくる。

「まだ、恋愛感情はないけど、お母さんの言った通り実際会ってみて気持ちが変わった」

それは良かった。

「これで、俺も上司に気兼ねなく報告できるよ」

 父は安心している。

「でも、交際まで発展するかどうかはまだわからないからね」

 父は笑みを浮かべている。

「それはいいんだ。とりあえず、いきなり断るよりは全然マシだから」

 確かに。


「付き合ったら言ってくれ」父が言う。

「そりゃあ、言うよ。隠してたんじゃダメなんでしょ?」

「出来れば言って欲しい。まあ、お前が言わなくても相手が自分の父に言うだろ」

 それはそうだ。


「とりあえずは明日俺が仕事に行ったら上司に報告するよ」 何で父が浮かれるんだ。「わかった」


 私にしては珍しく居間にずっといる。いつもなら夕食を終えるとすぐに自分の部屋に行ってしまうんだけど。落川さんのことがあるからかな。それしか考えられない。


 なんとなく、私も浮かれているような気がする。久しぶりにデートをしたからかな。しかも、嫌なタイプじゃなかったし。でも、交際に至るまではまだまだ。恋愛感情が湧いていない。でも私のことはどう思っているのかな。「かわいい」と褒めてくれたから、悪くは思っていないはず。帰り際に連絡先を交換したから、また会いたいときにお互い連絡しよう、という話しをした。


 その夜の9時過ぎにLINEがきた。相手は予想通りの落川良太郎さんから。

<今日は美鈴さんのおかげで楽しい時間を過ごすことができました。ありがとう。ぼくとしてはさっき会ったばかりなのに、すぐにでも会いたい気分です。なので、明日の夜も会いませんか?>という内容。私は、

<そうですね。明日も会いますか。また迎えに来てくれますか?>すると、

<もちろんですよ! 美鈴さんを迎えに行くのも僕の楽しみでもあります>

<そうなんですね! それなら良かったです>私はそう送った。


 職場の同僚の柿谷早稲にもこのことを伝えようと思いLINEを送った。すると、彼女からは、

<お! それは良かったじゃない。うまくいけば、玉の輿になれるかもよ>

<まあ、まだそこまでは考えていないけどね>

<そうなんだ。あたしが思うにこれはチャンスよ! お金に苦労しない生活ができるかもしれないよ>

まあ、それもあるかもしれないけれど、お金お金っていうのはあまり好きじゃない。まあ、お金が必要なのはわかるけれど。お金に困ったら働けばいい。私はそう思う。

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