第1章 5話 密かに練習
カラオケに行ってまずは早稲が歌った。相変わらず良い声で上手い。さすが。でも、私はというと高い声がでなかったり、音程が外れたりと下手。だから、どうしても早稲とどちらが上手いか比べてしまう。
とは言っても彼女の方が上手いに決まっている。私は変なところで負けたくないと思ってしまう。まあ、人それぞれだろう。そう思い気にしないことにした。
でも、気にする人間に気にするなと言われても、ちょっと無理がある。今回は自分でそう思ったんだけど。
カラオケは2時間歌った。楽しかった。それと、もっと私の歌が上手ければ、更に楽しかっただろう。それは練習あるのみかと思う。
それからというものの、私は早稲とのカラオケをもっと楽しくさせるために、1人で密かに練習していた。
約1ヶ月間、私は毎日仕事を終えてからカラオケボックスに通って特訓していた。同じ曲を何度も歌った。その歌に関してはいくらか上手くなったかもしれない。声も出るし音程も安定してきた。この調子で一曲ずつ練習していこう。もちろん、好きな歌を。
それから三ケ月後ーー。 私は勇気を振り絞って早稲をカラオケボックスに行こう、と誘った。返事はOK。行く日程は今週の土曜日の夜八時に現地集合と決めてくれた。私だけじゃ決め兼ねるから。因みに今日は金曜日の夜。明日の話し。
翌日。今日は私も早稲も休み。今まで仕事を終えて歌の練習をしに一人でカラオケボックスに毎日通っていたので、疲れている。なので、ゆっくり寝ていた。
その時だ。LINEがきた。誰だろう? せっかく寝ていたのに。スマホを見てみると、母からだった。実家は隣町にある。どうしたのかな、LINEをくれるなんて珍しい。本文を見てみた。
<美鈴、久しぶりね。元気にしてたの? 連絡もよこさないし、実家にも来ないからLINE送ってみたのよ。まあ、それは差し置いて、美鈴に話しがあるのよ。近い内に実家に来なさい>
<話し? なんだろう。近い内に行くよ>
早稲とカラオケボックスに行くのは夜八時。実家には昼からでも行ける。なので、もう一通母にLINEを送った。
<午後から行くわ>
<そう、待ってるね>
お昼まで寝て、十二時半頃に目覚めた。お腹空いた……。そう思ったので、のそのそと起き、キッチンに向かいカップラーメンを食べることにした。醤油味。やかんに水を入れ、ガスにかけた。一人分のお湯だからすぐに沸くだろう。
十分くらいで蒸気が上がり、ピーっという音がやかんから聴こえた。すぐにキッチンに行き、ガスを止めた。パジャマ姿のまま引き出しから割り箸を取り、カップ麺の上蓋を開け切り取った。
私はカップ麺は美容に良くないとわかっていながらも、お手軽だからついつい買ってしまう。それに美味しいし。
シャワーは昨夜浴びているので良いとして、まずは実家に行く支度を始めた。メイクをし、今は夏なので薄着の服とズボンを身にまとった。それから歯磨きをし、準備完了。時刻は午後1時30分頃。さて、行こう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます