第14話 Mプロ会議
2回目のMプロの会議が開催された。1回目の買い占めとの違いが議論になった。1回目はわざわざ株券を見せに来社してきたが今回はどうか。草川弁護士から、株券は裏でお金をだしている金融機関が担保に押さえているので、持っていないのではないかという指摘がなされた。法務部員の加藤健介は、日本土地の所有する土地の登記簿を豊中法務局でまる1日調査した結果、すべて抵当権が設定され、しかも根抵当で、極度額が不動産価値以上についていることが判明したことを報告した。抵当権者は各地のノンバンクで、都市銀行の系列のところもあることも報告された。ここから今回は相当無理をして、お金を借りまくっていると判断された。もうこれ以上は資金がなく、買い続けることは難しいのではないか。従って、持久戦に持ち込むことが会社にとって最大の企業防衛だろうと結論付けられた。
伴藤弁護士からは、大阪府警OBのOFリサーチからの調査結果が報告された。やはり、日本土地は柳川会のフロント企業であり、会から本木氏に何らかの指示や資金が出されているとの指摘があった。ただ、彼の資金量については不明との見解だ。最近のバブルで反社組織も相当儲けているので、資金量は以前より相当大きくなっていそうだ。
丁度この頃、大手繊維メーカーの倉敷繊維が反社の買い占めにあい、「反社とは絶対取引しない。」という会社の原則を公開した。同社の「反社と取引しない」という宣言は暴対法の先駆けかもしれない。「買い戻しには応じない。取引しない。買われるのは仕方ない。」という原則で、暴対法のない時代に先をいく画期的な宣言だった。トヨタ織機もこれに習って、マスコミから問い合わせがある度に「買い戻しは一切しない。ただの大株主にすぎない。」と言い続けた。
持久戦に持ち込めば勝てる。そろそろバブル終わりそうなのだ。各地で買い占め側の方が慌て始めている。
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