新しいヤツ
午前1時58分。今日は組織に遺体処理班が新しく入ったらしい。
入って直ぐだが、お手並みを拝見させてもらうことになりそうだ。
,
午前3時16分。今日も依頼をこなす。
元々この肉塊を処理していたのは紛れもない、"俺''。肉塊へと変えた責任を、しっかりとこなしていた。
でも今日は違う。新入りを呼ぶ…だったか。
そう思い出し、処理をしようとした手を止め。
スマホを取り出し、電話を掛ける。
午前3時21分。到着。
「んぉ!これまた派手にされましたね〜…先輩もこーしてぐちゃっ!ってしちゃうタイプですか?もー、やだなぁ。処理がめんどくなっちゃうじゃないですか。」
到着して早々文句を。なんだ、コイツ…
「いいだろ、楽なんだ。」
「こっちは楽じゃないんですけどー!!あ、どーせコイツ到着してすぐ文句言いやがって。とか思ってるんでしょー!?いいですか!俺は男だし、華奢な身体ですけど…しっかり仕事しますし!名前はミチルですから!コイツじゃないですからね!」
バレた。あとなんだコイツ。
聞いてもない情報まで言ってきやがった。ったく、呑気なもんだな。最近のヤツは。
…よく見たらコイツ、仕事の手際がいい。自分で言ってた通り、やっぱ仕事だけは出来んだな。
…それに、ちょっとしか見えねぇけど…首元に痣がある。なんだ、火事かなんかの火傷っぽく見える…。
…それにコイツ、なんか女みてぇだな。…でもさっき俺って言ってたし…男か。手の手つきも見て、女より手を下げた時に出る血管がはっきりしてる。男か。
「…午前3時30分!なんて綺麗な数字に業務を終えられたんでしょう…♪嬉しすぎて舞い上がっちゃう…!!…あ、先輩もお疲れ様です。いやー、やっぱ仕事終わりにはコーヒーとか飲みたいですよね!…そうだ先輩聞いてください!俺、将来こーゆー仕事じゃなくて、カフェ営みたくって…!」
…よく喋るな。空先輩とは大違いだ。こんなに騒がしい帰り道は経験したことない。空先輩は大人しく、俺が話しかけてやっと会話が成立する程度だからだ。
…そういやコイツもこっち方面なのか?ずっとついてくるが…
「…お前も、こっちなのか?家、」
「お前じゃないです!ミチルです!ああいえ、少し人に用がありまして。」
「…はあ、そうか。」
コイツ、やたらと自分の名前が好きなのか?
まぁ、自己主張が強いのはいいこと、か…
…名前、か。
……いずれ、僕はこの仕事をやめるだろうな。
その時の名前、考えておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます