第4話 唯一の彼に会いたい

私の名前は天野玲、高校二年生

私の親はお父さんしかいない

お母さんは私が小さいときに

病気で死んじゃったんだって。

私のお父さんは社長で、

私はいわゆるお嬢様である


私はお嬢様っていうのが嫌いだった。

中学生の時、転校して、

私が社長の娘って知った途端に

社長の娘だから付き合ってほしい

だとか、お金貸してほしいとか、

お嬢様だからって調子乗るなとか。

とにかくクラスメイトにからかわれ

次第に学校に行くのが憂鬱になった。


家でも、仕事から帰ってきて疲れてる

お父さんに理不尽に怒鳴られて

でも、みんなが思ってるほど毒親って

わけでもないからお父さんが嫌いって

いうわけじゃなかった。

それでもつらいものはつらかった。


友達もいなくて、お父さんに何もして

あげれなくて、家にいるのがつらくて

夕方から夜にかけては公園で過ごす様に

なっていった。


ある日、いつも通り公園で過ごしていた時に

後ろから声をかけられた。


「ねぇ、君、なんで一人でいるの?」

同級生くらいの男の子だった。

「なんだっていいでしょ、ほっといてよ」


私は、どうせ話していくうちに

彼も社長の娘だからとか言い出すと思って

そっけなく返してしまった。


でも、彼はそっけなく返したにも

かかわらず、続けて話しかけてきた。


「そっか、悩み事でもあるんだね。

一人の時間って大事だから尊重するよ。」

彼はそう言って立ち去ろうとする。


「待って!!」

罪悪感からなのかしらないけど

気づくと彼を呼び止めていた。


「その……ごめんなさい、ついカっとなって

あなたにひどいこと言って……」

「うぅん、大丈夫。僕で良ければ話聞くよ。」

その彼の優しさに甘えて、全て話した。


「そっか、君も大変なんだね。」

「君もって…あなたもそうなの?」

「うん、周りよりちょっと頭がいいだけで

色々言われちゃって…君に比べたら

軽いものだよね。」


彼の話を聞いて、彼なら仲良くしても

いいかもしれないって初めて思えた。


でも、次の日もその次の日も、

彼が公園に来ることはなかった。

彼に会いたい一心で、

毎日公園で待ち続けて、気づいたら

高校生だった。名前も聞いてないのにね。

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