第Ⅰ章 第13話

最初の声はこの黒柳家の当主で、翠桜様のお父様・櫻樹知翠様のお兄様である黒柳香綺である、その次はその香綺の妻・黒柳香織だ。


「だ、そうですが・・・貴方の指示に動けば宜しいのですね?ファントム様」

香綺は別の人物にそう投げ掛けた。


「ああ。だが・・・あの女・・・お前達が虐げて来たあの女は・・・彼等にとって大切な存在で、我々にとっては邪魔な存在だ。


殺そうにしてもあの男達は何度でも我々の邪魔をするだろう」

ファントムと呼ばれた男は冷静にそう答えた。


「あの女は宝石執事と契約出来ない存在では無かったのですか?」

香織はそう聞いた。


「あの女は宝石執事と契約出来る存在だ。何故なら、あの男達は現にあの女に加護を与えている筈だ」

ファントムはそう答えた。


・・・あの男達・・・?あの男達とは一体誰だ?

ファントムがさっきから話してるあの女とは、翠桜様の事か?

彼等は一体何の話をしている?


「そうですか・・・」

香織はそう答えた。


「まあ、我もそろそろ行くとする。


お前達に朗報を持ち帰れるかは分からぬが・・・お前達の依頼であるあの女・・・櫻樹翠桜の暗殺は任された以上はしっかりこなそう・・・ではな」

ファントムはそう言い、部屋を後にした。


「私もファントム様と行って来ますね」

香織はそう言った。


「頼んだ」

香綺はそう言った。


私もこれ以上は彼等から聞き取れないと感じ、静かに離れに戻る事にした。

だが、とんでも無い事を耳にしてしまったのだ。

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