第Ⅰ章 第10話

ユウェールはこの世界・ユヴェールの繁華街で学院都市だ。


「しょ・・・承知致しました・・・。それでは失礼致します」

私は反論もせずにそう答えて、深くお辞儀をし、その場を後にした。


因みにこの黒柳家の当主・黒柳香綺(くろやなぎ・こうき)は私がその場に居ても居ない様に扱う為、挨拶をするだけ無駄だ。


私は残りの家事をして、離れに戻る。

離れに戻る頃には、徠華さん達も離れに戻っていた。



「お帰りなさいませ、翠桜様・・・それと徠華兄さん」

そう挨拶したのは桜華だ。

明らかに私と徠華さんとの挨拶には若干の温度差を感じてしまうが・・・そこは黙って置く事にした。


「ごめん、桜華。

私、出掛けて来ないといけないの」

私は離れに戻って早々、桜華に謝罪をした。


「それは一体・・・?」

桜華は私にそう聞いた。


「実は・・・その・・・香織様から買い出しに出る様に言われて・・・その私一人でって言われて・・・」

私は口籠もりながらそう言った。


「ですが・・・私と徠華兄さんは翠桜様の世話係であり護衛を務めています。


それに・・・翠桜様をお一人で外出させる訳には行きません。

ですので、私も同行します」

桜華はそう答えた。


「・・・でも・・・香織様から一人で行けと言われたのに・・・それを破るのは・・・」

私はそう答えた。

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