第Ⅰ章 第9話
「は・・・はい・・・構いません」
私はそう答えた。
「承知致しました。・・・それでは一度、失礼致します」
アベンチュリンさんはそう答え、キッチンから姿を消した。
私はキッチンに立つと朝食と黒柳家の双子の姉妹・黒柳香凜と香蓮の弁当を作るのが私の日課だ。
黒柳香凜と香蓮の姉妹は宝石執事と契約している為、この世界で唯一の教育機関・エーデルシュタイン学院に通っている。
私は慣れた手つきで4人分の朝食と双子の姉妹の黒柳香凜と香蓮の弁当を作った。
作り終えたら直ぐに家事を終わらせて、離れに戻らなければならない・・・何故ならば・・・
「・・・あら、居たのね」
そう不機嫌そうに挨拶もせずに嫌味を言い、キッチンに姿を見せたのはこの黒柳家当主・黒柳香綺(くろやなぎ・こうき)の妻・黒柳香織さんだ。彼女も宝石執事との契約者だ。
「はい。・・・朝食と香凜様と香蓮様が持参なさる弁当は作り終えましたので・・・家事が終わり次第、離れに戻ります。
昼の準備をしにまた来ます」
私は恐る恐るそう言った。
「・・・そう。・・・昼の準備は不要です。貴女には家事が終わり次第・ユウェルに行って買い出しを頼みたいのです。
勿論、一人で行って貰います」
この有無を言わさずな所は双子の姉妹の香凜と香蓮に似ている。
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