第Ⅰ章 第8話

「そうですよ」

そう言ったのは彼女と似た様な容姿をしたもう一人の子。


最初に徠華さんに声を掛けたのは黒柳家の当主・黒柳香綺(くろやなぎ・こうき)の双子の姉の黒柳香凜だ。


次に香凜の言葉に相槌を打ったのは香凜の双子の妹の黒柳香蓮だ。


「行きましょう」

香凜さんと香蓮さんは有無を言わさず、徠華さんの腕を取り、その場から姿を消した。


「アベンチュリン・・・・悪いけど、翠桜様の事を頼んだ」

徠華さんは連れて行かれる直前に自分の宝石執事のアベンチュリンさんにそう言った。


「承知致しました」

頼まれた当のアベンチュリンさんはそう答えた。



「では、参りましょうか・・・翠桜様」

アベンチュリンさんは私にそう言った。


「は・・・はい」

私はそう答えた。



黒柳家の本邸に入り、私達はキッチンに向かった。


キッチンに入ると「翠桜様、お手伝い致します」

アベンチュリンさんは私にそう言った。


「い・・・いえ・・・その・・・お気持ちは嬉しいのですが・・・その・・・お手伝いしてもらう所を黒柳家の人に見られたらまた、怒られてしまいますし・・・その気持ちだけで十分です・・・」

私はそう言った。


「そうですか・・・では・・・キッチンは翠桜様に任せても良いですか?私は他の家事を黒柳家の者に見付からない程度にしますので・・・それならば構いませんか?」

アベンチュリンさんはそう聞いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る