第Ⅰ章 第4話

「おはよう、桜華。・・・私に様なんて付けなくて良いよ?」

私は桜華が私に対する仰々しい態度に少し、呆れながらそう言った。


「・・・桜華様は翠桜様の世話係で護衛役を担われておりますから、その様な仰々しい態度を翠桜様になされるのですよ」

私の質問に答えたのは桜華では無く、彼女の宝石執事の一人・ゴジェナイトさんだった。


「・・・おはよう・・・ございます・・・ゴジェナイト」

私はゴジェナイトさんに挨拶をした。


「はい。おはようございます、翠桜様」

ゴジェナイトさんはそう頷いた。


「翠桜様、朝食は如何なさいますか?」

桜華は私にそう聞いた。


「食べる」

私はそう答えた。


「では、用意致しますね、翠桜様」

桜華はそう言い、キッチンに向かった。


キッチンでは桜華が朝食の支度をしていた。

宝石執事は基本、契約者である人間の為に働く。


すると「おはようございます、翠桜様」

そう挨拶して来たのは桜華の双子の兄であり、桜華同様に私の世話係で護衛役である櫻宮徠華さんだ。


「おはようございます・・・徠華さん」

私はそう挨拶した。


彼等兄妹の家はこの黒柳家よりもこの世界に影響力を持つ櫻の一族の一角を担う櫻宮(さくらのみや)家である。


勿論、私もその櫻一族の一つ・櫻樹(さくらぎ)家の人間である。

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