第15話 平穏な日々②

正直昼間ぐらいは特にやることがない、毎日掃除とかやってるけどそんなに汚れてる訳じゃないから最近は暇な時間が増えてるんだよな、行きたくは無いけど家に1度帰るか、どうせあの人は帰って来てないだろうし。

着替えを済ませ早めに志保さんが帰ってきた時のことも考えて手紙だけ書き残して部屋を後にした。


「ちょっと怖いな」


いくら昼間とはいえ高校が近いから知ってる人に見られたら気まずいから怖いしさっさと行こう。


「はぁー」


この家の前にいるだけで憂鬱な気分になる、こんなところ二度と戻ってきたくは無かったけど色々と必要な物はあるから仕方ない。


ガチャ


ドアを開けた玄関からは何一つ物音が聞こえない、他人が来たら空き家と思われそうだな、2階にあがり必要な荷物をまとめる。


「ふぅ、この家暑すぎだろ」


30分ぐらい荷物をまとめて何とか終わりそう、それにしてもあの人何日帰ってきてないんだ、冷蔵庫はいつも通り空だけどリビングはまるで生活感がない。


「ほんとどこまでいっても救えないやつだな」


怒りというよりは呆れたような一言を残し再び作業に戻った。

それから30分計1時間くらいで最低限の荷物はまとめた、あんまり志保さんのお家でスペース取るのも悪いからリュックに入るぐらいだけど優柔不断なのもあって苦労したな。


ピンポーン


こんな時間に誰だろうか、ご近所さんかな?

カメラのインターホンを確認すると見覚えのある顔が映っていた、時間的にその人が居るのはありえないんだけどなんで居るんだろう、とりあえず無視でいいか。

その後も何度かインターホンが鳴ったがそれに答えることはなくその人が居なくなるまで掃除をして時間を潰した。


「もうそろそろお家に帰るか」


今帰ってそのまま夕飯の支度すれば時間もちょうどいいし、周りを少し慎重に確認し志保さんの家へ向かう、時間帯的に下校時間と少し被ってるし少し急ごう。


「はぁはぁ」


さすがに疲れた、人目のつかない道通ろうとしたら思ったより時間がかかってしまった、志保さんの家に着いてからはすぐに夜ご飯の支度を始めた。


ガチャと扉の開く音が聞こえた、玄関からは聞きなれた声とおそらくその友達であろう声が聞こえてきた。


「ただいまのハグー♡」


「今抱きつかれたら危ないですって」


「よっす、またお邪魔するねー」


「はい、もう夜ご飯できますから志保さん連れてってください」


「りょーかい、ほらいくよー志保」


「やだやだ!莉央くんエネルギー補給しないと死んじゃう〜」


俺に抱きついても栄養はとれないけどな、「はいはい」と真衣さんに一蹴されリビングに連れていかれる。




こんな当たり前の楽しい日常は死ぬまで忘れることは無いだろう。





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