第12話 来客④

「「いただきます」」


「はい莉央くんあーん♡」


「志保さんお友達が来てるのにやるんですか...」


「いつもやってるし見られても何も減らないよ!」


「まだ会って少ししか経ってないよね?これただのバカップルじゃん」


「もー真衣ったらそんなに褒められると照れるな」


「照れてないでご飯食べましょうね」


「莉央くんがあーんしてくれないと食べれない〜」

_

「少しだけですからね後は自分で食べてください」


「うん♡はやくー♡」


「あんたらどこまで進んだの...」


「ひ み つ♡」


「志保さん紛らわしい事言わないでください、ホントニヘンナコトハシテマセンカラ」


「最後カタコトだったけどほんとに何も変なことやってないんだよね!?」


「そんな事どうでもいいから莉央くんあーんしてー♡」


「こいつ...」


その後もなんやかんやありながらも無事に食事を終えた、多分無事なはず、志保さんは頭抑えながら「痛いよぉ莉央くんよしよしして?♡」と言っていたが佐藤さんがお説教してるので仕方なく見なかった事にして洗い物を終わらせよう、ごめん志保さん。


「私も手伝うよ」


「わざわざ来てくれたのに手伝わせるなんてこと出来ませんよ、後志保さんは大丈夫ですか?」


「少しそこに転がってるけどいつもあんな感じだから気にしなくていいよ、それに莉央くんはわざわざ私のためにご飯作ってくれたんだよね?それぐらいは手伝わせて」


「すいません、じゃあお願いします...」


佐藤さんは志保さんとは違うタイプだけどよく似てるな、志保さんがいつも佐藤さんの話してくれるけどやっぱり優しい人なんだな、志保さんは人を見る目すごいあるみたい。


「今日は会っときにもいった通り志保の彼氏を見に来ただけだから、特に変な意味はないからね」


「はい、まぁいきなり彼氏出来た上に高校生を居候させてたら気になっちゃうのは仕方ないです、むしろ志保さんの事を本気で心配してくれるお友達が居るみたいで良かったです」


「私も志保の彼氏がちゃんとした人で安心したよ、あの子ちょっと色々強引すぎたりしない?」


「あ、まぁそうですね、けどそのおかげで助けられてる部分もあるので助かってますよ」


「そう、それなら良かった、後あんまり深い事は聞くのはあれだから聞かないけどやっぱり親御さんは心配してたりしないの?」


「してないと、思いますあっちも警察に通報したら都合が悪くなると思うので...」


「けど志保さんに迷惑を掛けるのも違うって分かってます、だから近いうちに家には帰ろうとは思ってます」


「うん、その方がいいよ、けど何かあったら志保か私に相談するんだよ?」


「はい、ありがとうございます」


「これで洗い物は終わりです、ありがとうございます佐藤さん」


「うん、お役に立てて良かったよ、後佐藤さんじゃなくて下の名前でいいよ」


「はい、真衣さん...」


「よろしい」


「志保さん寝てるみたいなので起こしてきます」


「それは悪いからいいよこのまま私帰らせてもらうよ」


「分かりました」


先に玄関に向かおうとした時一瞬意識が飛んで倒れかける


「大丈夫っ?」


「あ、すみません大丈夫...です...ちょっと疲れてただけです」


「いやどう見ても大丈夫じゃないよ、ほんとにダメそうだったら救急車呼ぶよ?」


どう見ても大丈夫じゃないし疲れてただけなのに心臓を抑えるわけない私がスマホを取ろうとすると彼は無理やり立ち上がって「ほんとに大丈夫ですから」と言って玄関に向かっていった。


「じゃあ私は帰るけどほんとにダメそうだったら救急車呼ぶんだよ?無理しちゃだめだよ?」


「はい、真衣さんにまで心配掛けてすみません、本当にただの貧血なので気にしないでくださいしっかり休みますので」


「うん、じゃあまたね志保によろしくって伝えておいて」


「はい、またお待ちしております」


パタン


ドアが閉じると同時に再び心臓を手で抑えるようにして蹲る


「はぁ、はぁちょっと無理しすぎちゃったかな...」


少し俺も休もう


・・・・


「本当に大丈夫なのかな」


志保の家から帰っている最中にさっきのことを考えてる、どう見ても貧血なんかじゃなかったけど莉央くんは大丈夫の一点張りでこれ以上聞ける感じでもなかった、一旦は落ち着いたみたいだったけどやっぱり心配。

それと志保から彼氏の名前を教えてもらった時に気になっていた事がある、人違いの可能性もあったけどやっぱり本人の可能性が高そう、まぁけど私がそんな気にすることでもないか。

志保のスマホにはスポーツのネット新聞が写っており見出しは「消えた逸材」という見出しが書いてあった。

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