第2話 呼ばれた理由

「ていそうが…反対?」


『うーんとな…例えば卑しい男が女にナンパするのはよく聞くだろ?』

『ここでは、卑しい女が男にナンパするのが普通なんだ』


まじか

信じ難いけど、あれを見たら納得せざるを得ない…


そうだ、このにょろにょろに聞きたいことがあったんだった


「どうして俺のことを召喚したの?」

『ああっ、そうだったそうだった』


『オレは人間の体にひっつき、それを操縦して戦う…魔物なんだ』

『ただ、この世界ではそれも困難でな

オレはオスなんだが、異性である女の体は操りずらいし、男の身体は軟弱ですぐバテちまう』

「ほぉほぉ」


『だがまた他の魔物に追いかけ回されるのはごめんだ

それで同性かつ軟弱じゃない人間を、別世界から魔法でここに呼び出したんだ』

『その人間ってのが、お前ってこった!』

「おぉー…!」


「でも、ここからどうするの?」

『?どうするって?』

「僕、ここのお金持ってないよ

武器も持ってないし、魔法も使えないし」

『…』


『あああああああ!!!!そうじゃねーか!!!!お前のばかああああああ!!!!』

「えっ!?なんで僕!?行き当たりばったりに召喚したにょろにょろの落ち度じゃん!」

『うるさーーーいっ!!!てかにょろにょろって呼ぶな!!正式名称で呼べ正式名称で!!!』

「正式名称も分からないんだって!!ここ来るの初めてなんだから!!」



??「なにしてるの♪おにーさん♪」


「『!!』」

僕達は歪み合いを解いて振り返る

そこには、さっきとは別の人が、路地裏の入り口に立っていた

声からして女性だけど、ローブを全身に纏っていて顔が分からない


「え…だれ…?」


僕がそう聞くと、その人はローブを外して素顔を見せた

赤いドレスを着ていて、茶色の長い髪をしていて

綺麗な人だ

だけど、それでもなにか怪しいオーラを感じる


レイハート「よっと…私はレイハート♪なんか声が聞こえてくるなーって来たんだけど…おにーさん、可愛い顔してるね♪」

「か、かわ…!?」


ほ、褒めてくれた…!

この人、良い人なのかも


『…あ…ああぁ…』

「?どうしたのにょろにょろ」

『や、やべぇ…こいつにだけは会っちゃだめだって…!!』

「こいつ?あの人のこと?」


なんで怖がってるんだろ

あれ、顔の横に何かが横切っ--



【ズドォン!!!】


「--は…?」


後ろの壁に目を向けると、岩が突き刺さっていた

僕の顔より大きくて、鋭利な岩


レイハート「外れてよかったね、おにーさん♪私のものになってくれるなら、また外れてくれるかも!♪」


入り口の女性、ライハートさんは手をこっちに向けて

さっきと同じ岩を、手のひらで作っていた


もしかして、魔法…?

それにこのままだと、死ぬ…?



『うあああああサンダーーーッ!!』


そう考えていたら、肩に乗ったにょろにょろが体が光らせ、電撃のような光線を女性に放った


【バチィィッ!!】

レイハート「きゃぁっ!?」


彼女は電気を通されて、弱ったように膝をつく

このにょろにょろにも、こんな力が…


『今だ!!逃げるぞ!!』


「っ!うん!」


僕はハッとして、裏路地を抜けようとする

はやく、はやく逃げないと--



【ガシッ!】


「がはっ!?」

その時、電撃を受けたはずの彼女が立ち上がり

僕の首を、締めるように掴んでいった


「あが…ぐ…!」

レイハート「逃さないよ…おにーさん…?♪」

ーーーーーーーーーーー

続く

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