わな

俺は俺の思いで、出来ることをやってきたつもりだった。


でも、それでも、

気持ちが足りていないことがたくさんあることに気付かされた。


陽介おじさんに対しても。

冬和菜に対してもきっとそうだろう。


母さんが俺にあの時言ってくれた言葉がよみがえる。


ー 俺には全然、力が足りないよ。でも、気付けるように頑張る。 ー


ただ、それは俺だけの問題ではないとも思う。


心無い言葉を発していた通りすがりの人達も、

じろじろ見てきていた人達もそうだ。


障がいを抱えている人が周りの目を気にしないといけない、

ありのままで生きづらいこの社会。


したいことをしてるだけで、

別に誰にも迷惑をかけていないにもかかわらず、

ただ生きているだけで、

好奇の目にさらされる社会。


冬和菜は、障害を抱えている。

それは、紛れもない事実。


だが、尊重されるべき一人の人間であることもまた事実だろう。


このであいが『当事者になる』、という社会の罠だったとしても。


偏見や障壁の渦巻いた、このどうにも変えがたい社会を、

好きに生きていきたい。


君、冬和菜とともに。

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君と罠 oira @oira0718

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