外野
「陽介おじさん、また来るね。」
「うん。冬和菜ちゃんも、また待ってるね。」
「はい。またお邪魔させてください。」
俺と冬和菜は、これまでファミレスで過ごしていた時間を、
陽介おじさんの家で過ごすようになっていた。
帰りの道中、
俺はいつも通りに冬和菜の車椅子を押しながら最寄りの駅まで送っていた。
すると、
通りすがりの人達がこちらをちらちらと見ながら、
「あら、あの子達若いのに大変ね。」
「付き合ってるのかしら。」
「彼氏さんは優しい人なのね。」
と声が聞こえてくる。
これは今日に限ったことではない。
冬和菜と一緒にいると、時々聞こえてくる。
じろじろと見られる感覚に襲われることもある。
その時、冬和菜はいつも下を向いてしまっている。
表情は分からないが、きっと気分は良くないだろう。
俺の何を知って、優しいと口に出しているのか、
俺たちの何が大変だと思っているのか。
俺たちはただ、友達と会っているだけ。
俺にとっては、どうでも良い外野からの声であっても、
きっと冬和菜にとっては一つ一つが辛いものなのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます