最後の日

「それにしても、アイツ、なんか車椅子に座って、誰かに押されてたよな。体調でも悪かったのかな。」


修もそうだったが、学校の同級生にも部活で怪我をして、松葉杖やら車椅子に乗っているやつも見たことがある。あまり見かけない光景であるので、一躍クラスの人気者に躍り出るやつもいたし、それを助長するやつもいたが、俺はそういうタイプではない。


俺はその後、何度か女と会っていた場所に訪れたが、

次の日もその次の日も、アイツは現れなかった。

「地元の人間じゃなくて、もう元の家に帰ったのかな。」

― 一言言ってくれても良いのに。 ― 

と思いながらも、


それほど深い仲でもないし、ましてやきちんと約束をしている訳でもないから仕方ないかとも思った。


あの後気になって毎日のように顔を出していた自分を恥ずかしく思うと共に、

例年とは異なる夏休みの過ごし方に充実感を抱いている自分もいた。


夏休み終了まであと一週間。

明日でここともさよならだ。

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