墓参り

「じゃあ行くか。」


先日の隣の部屋で聞いた会話から何となく察していた。


「あれぇ、お父さんここ前にも来たよ?」

「おじいちゃんとおばあちゃんのところでしょ?」


ちび達は無邪気に思ったまま話す。

こういうところで、コミュニケーション能力の退化を感じてしまう。

このまま退化し続けていくと、社会人になったときへの心配が増幅していく。


ちび達の言う通り、ここはいつものお墓の場所。


「また、おじいちゃんおばあちゃんに会いに来たの?」


子どもの無邪気さに周りの大人たちは、、、。


「そうだな。おじいちゃんおばあちゃんも本当は毎日会いたいんだよ。自分たちもお父さんお母さんと毎日会いたいだろ?」

陽介おじさんは腰を落として、ちび達の肩に腕を回して笑顔を見せた。


「うんっ!」

ちび達もその笑顔に応答する。


手を合わせ、じいちゃん家に戻ろうと、お墓前の階段を降りようとすると、ふと横目に見覚えのある姿が見えた。

「ん?アイツかな?」


俺は振り返ろうとしたが、母さんの「あんた階段で危ないから、ちゃんと前を向いて歩きなさい。」という声に負けてその場所をあとにした。


― まあ、次会ったとき直接聞けば良いか ―

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